弘前の市場「虹のマート」内にある「ハマダ海産」で10月31日、北国の伝統料理を再現した新商品「復刻・津軽育ち 鰊(ニシン)切込み」が発売される。
「ニシンの切り込み」は、細かく刻んだニシンを米麹や塩、唐辛子などとともに漬け込んで熟成させる、津軽地方や北海道などに伝わる珍味。同商品は、地元の料理研究団体「津軽あかつきの会」に伝わるレシピを基に開発・商品化した。「ハマダ海産」を運営する「DO」社長の浜田大豊さんは「古くから地域で親しまれてきた家庭料理だが、一周回って今の時代だからこそ新しさを感じる」と自信を見せる。
浜田さんによると、開発の原点となったのは、ニッチなテーマを深掘りする弘前市の本づくりプロジェクト「弘前の虫」であったという。同プロジェクトでは全10テーマを設定し、一つとして「ニシンの切り込み」に着目。調査を進める中で、自宅で切り込みを作っている住民の発見が難航したため、「津軽あかつきの会」に協力を依頼した。
津軽の郷土料理や食文化の保存・伝承を目指して活動する同会でも、近年はニシンの切り込みを作っていなかったが、約20年前に発行した同会のレシピ集に記載があることを発見。プロジェクトメンバーとともに復刻に向けた試作に取り組んだ。
「弘前の虫」で「ニシンの切り込み」のテーマを担当した砂川侑花さんは「津軽あかつきの会のレシピで最初に作った物は塩分がかなり強かったが、従来市販されている切り込みとは一線を画す奥深い味わいで、酒の肴(さかな)にぴったり」と話す。
試作段階で原料となるニシンを提供したのがハマダ海産だった。浜田さんは完成した試作品を一口食べてその味わいにほれ込み、即座に自社での商品化を決断。現代の好みに合わせて塩加減を中心に調整を重ねた。浜田さんは「アンチョビーのように料理の調味料としても幅広く活用でき、現代の食生活においても可能性を秘めている」と笑顔を見せる。
価格は1パック(80グラム入り)440円。