
老舗フグ料理店「さかな道場 ふぐ新」(弘前市元大工町、TEL 080-1680-9387)が1月10日、営業を再開した。
1963(昭和38)年に前店主の米谷実さんが創業した同店。青森県産のフグを使ったふぐ刺しやふぐちり鍋などを提供している。米谷さんが2024年5月に死去したため休業していたが、孫の前田陸さんが2代目店主として店を継いだ。
前田さんは高校時代、将来の選択肢の一つになればと、米谷さんから手ほどきを受けてフグのさばき方や調理法などを学んでいた。前田さんは「『フグ料理を教わりたい』と掛け合った時、祖父はひょうひょうとした感じで『いいよ』と軽く答えていたが、うれしそうだった」と振り返る。
高校卒業後、大学進学のため弘前を離れるが、米谷さんが体調を崩したことで店を引き継ごうと考え始めた。米谷さんが急逝した際、大学3年生だった前田さんは卒業を待たず、休学して営業再開に向けて準備。昨年10月に青森県のふぐ処理者認定試験に合格し、免許を取得した。亡くなる直前まで板場に立っていた米谷さんの後継として「常連客を1年以上も待たせるつもりはなかった。そのために年1回の試験に合格しなければというプレッシャーがかなり大きかった」と話す。
営業再開に合わせて、これまでの常連客に加えて新規層にも受け入れられるような空間を意識して店内を改装した。1階にカウンター席4席、テーブル席8席を設け、テーブル席は足腰が弱った高齢者でもくつろげるよう、小上がりをリフォームした。2階は小個室と大個室を備えた、最大20人までの宴会ができる座敷となっており、1月31日から利用を受け付ける。
メニューは「ふぐ尽くしコース」としてふぐ刺し(並)の「福コース」(4,950円)、ふぐ刺し(並)と唐揚げの「唐揚コース」(6,820円)、ふぐ刺し(上)と唐揚げと白子の「白子コース」(9,020円)、トラフグ刺しと唐揚げと白子の「トラフグコース」(1万8,700円)を用意。各コースには先付け、あえ物、ちり鍋、雑炊が付く。テイクアウトは「ふぐ刺し」(1人前2,200円、3人前6,160円)、「ふぐ唐揚げ」(2,300円~)、「ふぐちり鍋セット」(2,860円)などがある。
「ハードルが高いと思われているフグ料理だが、できるだけ気軽に楽しんでもらえるような価格で提供している。まずは一度食べてもらいたい」と前田さん。「フグと言えば『ふぐ刺し』や『ふぐちり鍋』が一般的だが、白子の食べ方は塩焼き、揚げ出し、天ぷらとさまざま。いろいろと味わってほしい」と話す。
営業時間は17時30分~21時30分。予約制。テイクアウトは日中の営業時間外も対応する。日曜・月曜定休。