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弘前で神職に就いたIターン移住者 地域おこし協力隊から転身

神職としてデビューした元地域おこし協力隊の石戸谷寛子さん

神職としてデビューした元地域おこし協力隊の石戸谷寛子さん

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 元地域おこし協力隊の石戸谷寛子さんが11月26日、弘前市で神職として初仕事を行った。

神事で太鼓を叩いた石戸谷さん

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 埼玉出身で2020年11月~2022年5月の間、弘前市で地域おこし協力隊として働いた石戸谷さん。弘前に移住した目的は「神職に就くこと」だった。9月に神職に就き、弘前市東目屋地区の稲荷神社の「権禰宜(ごんねぎ)」として、11月26日に行われた農作物の収穫を祝う「新嘗祭(にいなめさい)」で「祓主(はらえぬし)」を務めた。

 石戸谷さんによると、弘前に移住するまでは埼玉で行政書士として働いていたが、書類を作成するよりは人の話を聞き相談役になることが性に合っていたという。石戸谷さんは「2018(平成30)年に初めて弘前を旅行し、岩木山神社を訪れた際、涙が自然と出てきた」と振り返る。「以前からスピリチュアルな経験はあったが、岩木山神社に来て神様と人の仲介役になれるような仕事を考え始めた」とも。

 神職になる機会を探すようになった石戸谷さんは、2020年に見た初夢をきっかけに弘前へ移住した。「埼玉で修行の場を探すことは難しいと考えていた時期。移住を考え始め、『神社を盛り上げる』という地域おこし協力隊の任務があると紹介されたのが弘前市だった」と石戸谷さん。

 地域おこし協力隊は、都市地域から地方へ移住し、地域協力活動を行う総務省の制度で、弘前市では現在8人が在籍し、全国では約6000人が活動している。2020年に弘前市が募集していた地域おこし協力隊は、弘前市東目屋地区にある多賀神社を中心とした活性化のプロジェクトだった。石戸谷さんは「神職ではないが、岩木山神社には近いし、もしかしたらなれる機会はあるかもしれないと即決した」と話す。

 任期中は東目屋地区の町会活動やリンゴのPRなど精力的に活動するが、突然退任を決意。「退任を決めた直後に稲荷神社の宮司から研修に参加できる話が舞い込んだ。もしかするとお告げだったのかもしれない」と石戸谷さん。「東目屋地区の町会からの後押しがあって、稲荷神社の宮司が面倒を見てくれることになり、青森県神社庁の推薦も得て、研修のチャンスに結び付いた」とも。

 49日間の夜間研修を終え、現在の階位は「直階(ちょっかい)」。神職見習い「出仕(しゅっし)」として稲荷神社に所属したが、11月に「権禰宜」となり、「祓主」の機会を得た。石戸谷さんは「緊張はしたが神職になれたことを実感し始めている。移住当初は『なれるわけがない』といった意見もあったが、なることができた」と笑顔を見せる。

 「次の目標はより深い知識や作法を身に着けるために階位を上げること」と石戸谷さん。「青森にはさまざまな神社があり、高齢化や担い手不足で困っているケースが多い。すでに管理が行き届いていない神社もあり、宮司になることで神社を守っていければ」と意欲を見せる。

 「家や地域の困りごとの相談を受けることもあり、私自身も何かあれば神社へ行き、おみくじを引くなどして気持ちを決めることがある。神様との仲介役として、地域の人たちに元気になってもらえるような気軽に会える神主を目指したい」とも。

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