特集

【弘前の未来を考えるvol.5】弘前をアートのある街にする
Uターンしたまちづくりプランナー:盛和春さん

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【弘前の未来を考えるvol.5】まちづくりプランナー:盛和春さん

人口減少、少子高齢化、空き家対策…。これらの問題は一つの分野に止まらない。今後の社会にとってさまざまな影響を与える課題として山積している。それは青森も同じ。むしろ東京といった都市圏より進行は早く、問題は深い。

2020年春に吉野町煉瓦倉庫を芸術文化施設にリニューアルする計画がある中で、Uターンした盛和春さんはアートを身近に感じられるまちづくりを提唱。「Next Commons Lab 弘前」では、ゲストハウスにワークショップスペースとアトリエを併設した「アーティスト・イン・レジデンス」を立ち上げるプロジェクトを盛さんと共に、そして募集する起業家とスタートさせます。

【弘前の未来を考えるvol.5】まちづくりプランナー:盛和春さん

----弘前での関わりを教えてください

Uターンしたのは2014年で、弘前暮らしは約40年ぶりです。高校卒業後、進学のため上京。そのまま東京の建築デザイン事務所や大手広告代理店に勤め、都市開発やパビリオンの展示デザインなどを手がけていました。

弘前に戻ったきっかけは、現在、市が進める吉野町煉瓦倉庫を芸術文化施設に改修するプロジェクトです。この煉瓦倉庫は弘前市の中心市街地に位置する吉野緑地公園内にあり、明治~大正期に酒造工場として建造され、弘前市民にとって記憶遺産的な存在としてあり続けていました。私も幼少期、子どもながらに「黒塀に囲まれたこの建物はなんだろう?」と不思議に思いながら通学していたことを今でも記憶しています。

吉野町煉瓦倉庫

----煉瓦倉庫にどのような可能性を感じていますか?

この煉瓦倉庫で、2002年、2005年、2006年、弘前出身の現代美術家・奈良美智さんの展覧会が開催されました。3回の会期中、累計で16万人近い来場者があり、経済効果もさることながら、展覧会が弘前市民にもたらした興奮は今もなお語り継がれているほどです。

煉瓦倉庫は入っていただければわかりますが、その雰囲気はかなり独特です。工場、倉庫として95年の時間が刻まれた神秘的ともいえる空間に、アーティストはもちろん、訪れる人々も魅了されるはず。ここを中心に「アートのあるまちづくり」ができれば、弘前の中心市街地は賑わいを取り戻すと確信しています。

吉野町煉瓦倉庫

----プロジェクトにどのような思いや狙いがありますか?

あちこちにアートを見かける街、日常生活の中にいつもアートがある街、が私の最終ゴールイメージ。子どもたちが早くからアートやアーティストに接する機会をつくることがこのプロジェクトの狙いです。小さいうちからアートに接することで、自然に多様な価値観や自由な発想力が育くまれ、感性豊かな人になっていってくれるのではないでしょうか。

そのためには、外から招いたアーティストが、一定期間住みながら作品制作ができるような環境(アーティスト・イン・レジデンス)と、弘前市民とアーティストが交流できるスペースを備えたゲストハウスが必要です。

----プロジェクトのやりがいや苦労はどのあたりにあると思われますか?

【弘前の未来を考えるvol.5】まちづくりプランナー:盛和春さん

本プロジェクトはアートに関心のない人でも楽しめる、アートの入口になるようなゲストハウスづくり、アーティストの活動拠点づくり、アーティストと弘前市民との交流の場づくりという3つのチャレンジがありますが、私には事業計画や施設のイメージなど、具体的なことはまだなにもない状態です。

このプロジェクトにチャレンジしてくださる方の知見、経験を頼りにしています。少しずつ形にしていければいいのではないでしょうか。

----一緒に活動する起業家に期待することを教えてください

外観イメージ。左からC棟、A・B棟。2棟の間に「ミュージアム・ロード」が設置される外観イメージ。左からC棟、A・B棟。2棟の間に「ミュージアム・ロード」が設置される ©ATELIER TSUYOSHI TANE ARCHITECTS

自ら楽しみながらチャレンジしてくれる人。奇人変人、和人外人、知的障がい者、LGBT(性的少数者)など、多様な個性の人たちの中にふつうに飛び込んだり、迎え入れられたりする人。世界中から多様なゲスト、アーティストが集まる「ボヘミアン指数の高い」ゲストハウスをこの弘前の街で始めたい人。
このプロジェクトにチャレンジしてくださる方の知見、経験を頼りにしています。少しずつ形にしていければいいのではないでしょうか。

煉瓦倉庫は耐震補強などの改修工事を経て、2020年春、現代美術館としてオープンする予定です。そこから弘前は変わり始めます。現代美術館とともに世界の人々を引き付ける磁石のようなゲストハウスづくりに共感してくれる人を求めます。

盛和春(もり・かずはる)
青森県弘前市1955年生まれ。東京の理工系大学院を修了後、子どもの遊環境に特化した建築デザイン事務所に入社。その後、大手広告代理店に転職し、国際的な博覧会やスポーツイベント、大都市圏での都市開発・施設開発などの大規模プロジェクトに携わる。2014年にUターン。最近は山歩きにハマり、高山植物の花畑を観察しに八甲田を縦走。休日は庭の雑草と格闘中

Next Commons Lab 弘前とは?

Next Commons Lab(以下、NCL)は、地域リソースに対する事業創出などを目的とした、マルチセクターによる活動プラットフォームであり、新しい共同体です。NCL を立ち上げるために、地域リソースの発掘と可視化、セクターを超えたパートナーシップ、起業家の誘致と支援、地域での拠点整備など、さまざまな施策に取り組んでいます。各地にNCL を立ち上げ、それぞれの地域に沿ったプログラムを実践しながらネットワークすることで新たな社会インフラを整備し、コミュニティ間のネットワークと人材や知見の流動性を高めることで、より自由な生き方を選択できる社会を目指しています。

NCL弘前は「まち全体をキャンパスにする」をコンセプトに、多様な人が集い、知識や経験、技術を持ち寄り、成長する場所、自己実現の場所、革新が起きる場所としてあらゆる場所がキャンパスになることを目指します。 暮しと仕事の実践の中から、世代や立場を越えて学び合い、あたらしい価値とまちの未来を創造します。

» Next Commons Lab

プレイヤーを募集

アートが日々の暮らしの中に身近にあるまちづくり。アーティストが住民たちが接しながらアートを作れるような環境づくり。そんな弘前を盛さんとともに作っていくラボメンバーを募集しています。

» Artist in Guesthouse(エントリーページ)

プロジェクトパートナー紹介

» 1.青森→アフリカ→東京、そして弘前。地域を結ぶ コーディネーター:石山紗希さん
» 2.新しい流通のあり方に挑戦する ひろさきマーケット:高橋信勝さん
» 3.究極の地産地消を目指す料理人が醸造するワイン オステリア エノテカ ダ・サスィーノ:笹森通彰さん
» 4.シードル作りとりんご産業の課題に取り組む 百姓堂本舗・高橋哲史さん
» 5.弘前をアートのある街にする Uターンしたまちづくりプランナー:盛和春さん
» 6.地域社会の未来のため、活躍できる人材を育成 コラーニングスペースHLS弘前:辻正太さん