特集

【弘前の未来を考えるvol.1】青森→アフリカ→東京、そして弘前。地域を結ぶ
コーディネーター:石山紗希さん

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【弘前の未来を考えるvol.1】石山紗希さん

人口減少、少子高齢化、空き家対策…。これらの問題は一つの分野に止まらない。今後の社会にとってさまざまな影響を与える課題として山積している。それは青森も同じ。むしろ東京といった都市圏より進行は早く、問題は深い。

2018年4月に立ち上がった「Next Commons Lab 弘前」は、地域の課題を解決したり新しい産業を創出したりするため複数のプロジェクトを立ち上げた。今後は地元「パートナー」と新しく県外から呼び込む「プレーヤー」と一緒に弘前で活動を始める。今回は「コーディネーター」として弘前に在住し、プレーヤーのサポートやパートナーらとともに活動をする石山紗希さんにインタビューしてみました。

石山紗希さん

----弘前市での活動はどのような形になりますか?

弘前市は青森県西部にある津軽地域の中心となる都市で人口は約18万人。リンゴを中心とした農業が盛んな地域で、6つの大学を有する学園都市でもあります。弘前公園の桜やねぷたまつりといった観光コンテンツもあり、観光客も多く訪れます。

「Next Commons Lab」では実際に2017年5月頃から現地でのヒヤリングを始め、弘前市で活動する若い人や新しい取り組みなどがたくさんあることに気づかされました。

そこで、地域のパートナーと一緒に取り組むプロジェクトを立ち上げると同時に、今後もそういった地域の方とのプロジェクトが生まれ続けるような仕組みを作っていくことが、この地に必要なのではないかと考えました。これから3年間で、それぞれ発足したプロジェクトを形にするため、弘前市のパートナーと共に活動していきます。

「Next Commons Lab」

----石山さんと弘前の関わりはどのようなものでしたか?

私は青森市出身で青森市内の高校を卒業後、弘前大学へ進学。農学生命科学部で農業経済を勉強していました。部活動やサークル活動は特にやってなく、アルバイトをしては貯めたお金で海外へ遊びに行くような大学生でした。

学生時代は海外へ

在学中に回った海外はイタリア、オーストラリア、エジプト、インドなど8カ国。当初は海外へ行くことが目的でしたが、大手居酒屋チェーンでのアルバイトが楽しくなり、在学4年間の3年半は同じお店で働いていました。今でも当時のアルバイト仲間とは交流が続いています。

----「Next Commons Lab 弘前」に関わる前は何をしていたのか?

大学卒業を控え、就職活動をしなければいけない時期になりましたが、私は自分の働いているイメージが湧きませんでした。その時に元々興味を持っていた青年海外協力隊の元隊員とシリアに行く機会を得、隊員の活動の様子や面白さを感じました。

そして自分に合った活動だと思い、応募。研修を受け、卒業した2012年の9月にはアフリカ大陸大西洋沿岸の赤道直下にあるガボンという国に派遣されました。ガボンでは任期の2年間、野菜栽培といった農業を中心としたサポート。現地人と密に交流し、農業を伝えました。

ガボンにて

ガボンでの生活に困ったことはそんなにありませんでした。しかし、日本人としての自分というアイデンティティや日本のことや自分の将来のことを考える機会が多い日々だったと思います。

----どうしてこの活動に関わるようになったのか?

ガボンから帰国後、将来的には青森へ戻って農業に関わるような仕事をしたいと考えるようになっていました。そこで私にはまだ地域のネットワークや経験がなかったため、人材育成や起業を支援するETICという東京のNPO法人に参画。地方の企業と都市部の人材をマッチングさせる仕事をすることにしました。

企業説明会

そこで「青森なんて何もない」「地方には仕事がない」といったネガティブな価値観を無意識に受け入れていた自分に気づきました。本当にそうなのか、と。ガボンも日本も基本的には同じで、場所は関係なく、働くことは同じです。「地方には何もない」という考えは自分が気づいていないだけで、本当は地方にこそたくさんの魅力が詰まっているのではと思い始めています。

----今後、どういう活動をしていきたいか?

6年ぶりに戻ってきた青森では、学生時代とは違う風景が見えるようになっていました。都会より人の顔がよく見える街だと感じています。私自身がアフリカを経験し、都会で働いたからこそかもしれませんが、やっぱり弘前や青森が好きでその良さを知ってもらい、外から人が訪れるような取り組みをしていきたいと考えています。

「Next Commons Lab 弘前」では、その土地の資源を活用しながら、新しい社会システムの具現化を目指しています。弘前市に新しい産業を作っていくことを目的とし、現地のニーズをしっかりと汲み取って弘前市に住まないとわからない課題や現状を整理し、いろいろな人を巻き込んで新しい動きを作っていきたいです。

石山紗希(いしやま・さき)
青森市出身。弘前大学農学生命科学部卒業後、青年海外協力隊に参加。アフリカ・ガボン共和国にて2年間農業普及員として活動。その間にふるさと青森への想いが強くなり、帰国後は3年後のUターンを見据えて東京のNPO法人ETIC.に参画。実践型学生インターンシッププログラムや、都市部の人材と地域とをマッチングするイベントの企画運営、都市部社会人が地域へ企業への転職支援プログラム等を担当。 2018年4月に弘前市へUターン。現在はNext Commons Lab弘前の現地コーディネーターを中心に活動中。

Next Commons Lab 弘前とは?

Next Commons Lab(以下、NCL)は、地域リソースに対する事業創出などを目的とした、マルチセクターによる活動プラットフォームであり、新しい共同体です。NCL を立ち上げるために、地域リソースの発掘と可視化、セクターを超えたパートナーシップ、起業家の誘致と支援、地域での拠点整備など、さまざまな施策に取り組んでいます。各地にNCL を立ち上げ、それぞれの地域に沿ったプログラムを実践しながらネットワークすることで新たな社会インフラを整備し、コミュニティ間のネットワークと人材や知見の流動性を高めることで、より自由な生き方を選択できる社会を目指しています。

NCL弘前は「まち全体をキャンパスにする」をコンセプトに、多様な人が集い、知識や経験、技術を持ち寄り、成長する場所、自己実現の場所、革新が起きる場所としてあらゆる場所がキャンパスになることを目指します。 暮しと仕事の実践の中から、世代や立場を越えて学び合い、あたらしい価値とまちの未来を創造します。

» Next Commons Lab

プレイヤーを募集

NCL弘前では、7つのプロジェクトを立ち上げ、弘前で活動していく起業家を募集しています。 りんご産業を広い視点でとらえる就業支援ディレクター、八百屋経営者、ローカルインターンコーディネーター…。弘前の地に合ったテーマで外から起業家を呼び、パートナー、地元の人たち、学生らとともに弘前の未来へつないでいきます。そして新たな産業の創出といった効果を生み出していきます。

» Next Commons Lab プロジェクトページ

プロジェクトパートナー紹介

» 1.青森→アフリカ→東京、そして弘前。地域を結ぶ コーディネーター:石山紗希さん
» 2.新しい流通のあり方に挑戦する ひろさきマーケット:高橋信勝さん
» 3.究極の地産地消を目指す料理人が醸造するワイン オステリア エノテカ ダ・サスィーノ:笹森通彰さん
» 4.シードル作りとりんご産業の課題に取り組む 百姓堂本舗・高橋哲史さん
» 5.弘前をアートのある街にする Uターンしたまちづくりプランナー:盛和春さん
» 6.地域社会の未来のため、活躍できる人材を育成 コラーニングスペースHLS弘前:辻正太さん

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