特集

【弘前の未来を考えるvol.2】新しい流通のあり方に挑戦する
ひろさきマーケット:高橋信勝さん

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【弘前の未来を考えるvol.2】高橋信勝さん

人口減少、少子高齢化、空き家対策…。これらの問題は一つの分野に止まらない。今後の社会にとってさまざまな影響を与える課題として山積している。それは青森も同じ。むしろ東京といった都市圏より進行は早く、問題は深い。

弘前中央食品市場で「BONHEUR(ボヌール)」を開業して以来、弘前市内のみならず青森市にも出店を果たした「ひろさきマーケット」の高橋信勝さんは、地産地消の新しいあり方に現在挑戦中。「Next Commons Lab 弘前」では、「地元で愛される野菜」を直接消費者に届ける仕組みづくりに協力するべく、高橋さんを「パートナー」とし、起業をも視野に入れた「プレイヤー」と共にこの挑戦に協働します。

【弘前の未来を考えるvol.2】高橋信勝さん

----弘前での今までの活動を教えてください

弘前で高校を卒業し、介護事業所や食品の運送事業所で勤務。その中でお年寄りや一人暮らしの家庭に食料や生活用品を配達する仕事がありました。仕事を通じて買い物困難者が多いことを改めて知りました。さらに青森は全国でも有数の豪雪地帯。冬になれば買い物がさらに不便になります。こういった現状に少しでも役に立てればと、自分の店を立ち上げました。2011年のことです。

実店舗を構えたのは、無店舗より信用が得られるから。当初は中心市街にある市場のスペースを借りて惣菜や野菜を扱っていましたが、飲食店を始め、百貨店やデパートからお声がけいただき、店舗数を増やし、現在では弘前市だけでなく青森市にも店舗を構えるようになりました。

青森市の駅ビル内の店舗 Marché Asamubon青森市の駅ビル内の店舗 Marché Asamubon。野菜以外にも色とりどりの惣菜や加工品も並ぶ

----これまで関わられた中でどのような可能性を感じていますか?

青森県は食料自給率が100%を超える全国でも指折りのエリアです。日本一を誇るリンゴの他にも生産量が上位にある果物や野菜、まだ知られていないような在来作物や西洋野菜に挑戦している生産者がたくさんいらっしゃいます。豊かな自然と土地を生かした農作物が実はたくさん眠っている地域です。

たとえば初夏に収穫できるアスパラガスやミニトマト。中には、生産者たちが独自に編み出した栽培方法によって驚くほど甘みがあるものもあります。これらの生産者の思いが詰まった野菜を消費者に直接届けることができれば、必ずおいしいと感じてもらえる。そんな自信はあります。

手作りのポップもとてもかわいい

----高橋さんの挑戦にどのような思いや狙いがありますか?

従来型の商店街や食品専門店といった地域密着店は閉店しつつあり、ネット通販やコンビニエンスストアでの買い物が主流になっています。利便性を考えれば仕方がなく、時代の流れなのかもしれません。

一方で、市場では値が付きづらいけれども売り場にあればお客さまが買い求める珍しい野菜や、味は同じでも規格外と呼ばれ値が付きづらい野菜など、自らの値付けで流通させることができる農作物がたくさんあります。トレーサビリティーを確保し生産者のこだわりまでも消費者に伝えられるような新しい流通形態を作ること。販売代理店としての機能を持ち合わせた地域にある新しい形の「八百屋」を目指し、顔が見えるような流通を形にしていきたいです。

弘前市ヒロロ 弘前マルシェ

----やりがいや苦労はどのあたりにありましたか?

八百屋2.0 野菜のスペシャリスト

私たちが挑戦しようとしていることは、採算性とのバランスを考えながら進める部分が大きくあります。思いや気持ちだけでは片付けられないことも多々あり、「作り手」「買い手」「売り手」の三者それぞれがwin-winの関係を作っていくことが理想ですが、時には難しいこともあるものです。

しかし、売り場に立ち、消費者の需要や直接話をする機会を持ち、珍しい野菜などの食べ方を教えたり逆に教わったりすることも。「おいしかったよ」といった声を現場で聞いたときの充実感は替えられないものがあります。

----一緒に挑戦する起業家に期待することを教えてください

消費者と生産者をつなげる架け橋のような仕事です。消費者の声や需要を汲み取るマーケティング能力や商品開発に生かすアイデアも必要となります。規格外のため流通させることができない珍しい野菜を作っている生産者を見つけることも仕事。青森県内を探検するように回ることや、生産者とその場で交渉し、成約に結びつけるような行動力も必要になります。

私の場合、見たことがないビニールハウスを見つけると今度はどんな作物とどんな生産者の方に会えるのかと想像してしまい、宝物のように感じていまいます(笑)ビニールハウスに人がいなければ、付近にいる人まで探して「あれは誰のビニールハウスですか?」と迫ってしまいますね。こんな風になってもらいたいです。

【弘前の未来を考えるvol.2】高橋信勝さん

ひろさきマーケット
フレッシュファームforet(弘前市)
Marche Asamubon(青森市)

高橋信勝(たかはし・のぶまさ)
青森県弘前市出身。高校卒業後、介護事業所や食品の運送事業所で勤務。2011年に「BONHEUR(ボヌール)」を開業し、中三弘前店やさくら野弘前店などにも食品販売店を出店。座右の銘は「失敗しても命までは取られない」。趣味は、アニメ鑑賞、都市伝説を見たり読んだりすること

Next Commons Lab 弘前とは?

Next Commons Lab(以下、NCL)は、地域リソースに対する事業創出などを目的とした、マルチセクターによる活動プラットフォームであり、新しい共同体です。NCL を立ち上げるために、地域リソースの発掘と可視化、セクターを超えたパートナーシップ、起業家の誘致と支援、地域での拠点整備など、さまざまな施策に取り組んでいます。各地にNCL を立ち上げ、それぞれの地域に沿ったプログラムを実践しながらネットワークすることで新たな社会インフラを整備し、コミュニティ間のネットワークと人材や知見の流動性を高めることで、より自由な生き方を選択できる社会を目指しています。

NCL弘前は「まち全体をキャンパスにする」をコンセプトに、多様な人が集い、知識や経験、技術を持ち寄り、成長する場所、自己実現の場所、革新が起きる場所としてあらゆる場所がキャンパスになることを目指します。 暮しと仕事の実践の中から、世代や立場を越えて学び合い、あたらしい価値とまちの未来を創造します。

» Next Commons Lab

プレイヤーを募集

ラボメンバーを募集しています。高橋さんと共に地元で愛されて多く消費される弘前産の野菜を流通させ、弘前といえば美味しい野菜があるといったブランド化で、全国の事業者から引き合いがあるような未来を目指します。

» Greengrocer 2.0(エントリーページ)

プロジェクトパートナー紹介

» 1.青森→アフリカ→東京、そして弘前。地域を結ぶ コーディネーター:石山紗希さん
» 2.新しい流通のあり方に挑戦する ひろさきマーケット:高橋信勝さん
» 3.究極の地産地消を目指す料理人が醸造するワイン オステリア エノテカ ダ・サスィーノ:笹森通彰さん
» 4.シードル作りとりんご産業の課題に取り組む 百姓堂本舗・高橋哲史さん
» 5.弘前をアートのある街にする Uターンしたまちづくりプランナー:盛和春さん
» 6.地域社会の未来のため、活躍できる人材を育成 コラーニングスペースHLS弘前:辻正太さん

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