
「津軽塗お箸研ぎ出しキット」が10月15日、日本デザイン振興会が主催する「2025年度グッドデザイン賞」を受賞した。
完成まで約50あるという津軽塗工程の一つ「研ぎ出し」が自宅で体験できる同商品。開発・販売を手がける「津軽燈(あかり)LAB」(弘前市元寺町)主宰者の高橋武敏さんは「世界に一つだけの津軽塗箸を自分用やプレゼントに使ってほしい」と話す。
高橋さんによると、東京などで津軽塗のワークショップを開く機会が定期的にあり、多くは夫婦やカップルが参加していたことが商品化のきっかけになったという。「津軽塗は一人でやるものと思い込んでいたため参加者に二人で来た理由を尋ねると、一人だと行きにくかったということだった。ワークショップが自宅でもできるようになればいいのではと考えた」と高橋さん。
自宅で体験できるように考えた同商品は、津軽塗の下地が塗られた青森産ヒバ材の箸2膳に研ぎ出し用の紙やすり4種類、研ぎ出し用の水を入れるトレーや新聞紙、手元が汚れないよう敷くポリエチレンシートや手袋などをセットにした。研ぎ出した箸は同封のレターパックで「津軽燈LAB」に郵送し、最終仕上げを職人が行った後、完成品を返送する仕組みになる。
同商品は、グッドデザイン賞審査員から「伝統工芸を日常に引き寄せ、若い世代や遠方の人々にも文化に触れるきっかけを広げ、工芸の継承に新たな道を開いている点」と評価された。
高橋さんは「さまざまな協力があったからこそ受賞することができた。受賞を機に販路を増やし、多くの人たちに手に取ってもらえるようにしたい」と意欲を見せる。
価格は1万9,800円。津軽工房社(元寺町)、「津軽燈LAB」ホームページで販売する。