「久渡寺(くどじ)」(弘前市坂元)が6月23日、江戸時代に活躍した絵師・円山応挙(まるやまおうきょ)の描いた幽霊画を1日限定で一般公開する。
公開する幽霊画「返魂香之図(はんごんこうのず)」は、亡くなったある特別な存在の女性を供養するために弘前藩家老の森岡元徳が円山応挙に依頼し、書かせたものと伝わる。1784(天明4)年に久渡寺に奉納され、2021年には市認定有形文化財となった。
同寺院では毎年、旧暦の5月18日に幽霊画を供養するため1時間だけ一般公開していたが、今年は奉納240周年記念企画として、公開時間を5時間に延長した。住職の須藤光昭さんは「多くの人に供養してもらうことで、幽霊画にも喜んでもらいたい」と話す。
公開延長に合わせ、展示場所を同寺院本堂から観音堂に変更する。同日は供養法要を10時から行い、事前申込者のみ参列できる。奉納料は5,000円。申込者には、カネタ田酒酒造店(茂森町)の「返魂香之図ラベル 御供酒(おきょうしゅ)」、「諸難除け御守り」を進呈する。
「諸難除け御守り」は青森在住で錦絵アーティストの仙安さんがデザインを手がけた。仙安さんは同日、幽霊画からインスピレーションを得て作成したという掛け軸「遊女御影」を同寺院に奉納する。同寺院では幽霊画一般公開に合わせ同掛け軸の特別展示を行うほか、仙安さんの手書き幽霊画朱印頒布(片面=1,000円、両面=2,000円)も行う。
「久渡寺で応挙の幽霊画実行委員会」では公開日に合わせ、今年で5年目となる「円山応挙の幽霊画を観(み)て落語『応挙の幽霊』を聴くツアー」を行う。当日は、青森出身で落語家の三遊亭青森(さんゆうていあおもり)さんが高座に上がる。参加費は3,000円。
住職の須藤さんは「240年の節目に、幽霊画を通じて津軽の活性化に少しでも寄与できることを考えた。幽霊画もきっと喜んでくれるのでは」と話す。
公開時間は10時~15時。