岩木山神社(弘前市百沢寺沢、TEL 0172-83-2135)が現在、岩木山の新しい参拝方法などをSNSで呼び掛けている。
弘前駅では自由通路に岩木山に奉納する御幣(ごへい)などを設置
岩木山神社は津軽富士と呼ばれる岩木山の山頂に奥宮を持つ1200年以上前に創建された神社。地元では「お岩木さま」「お山」などと呼ばれ、1年に何度も参拝する人がいるほど親しまれる。観光地としても知られ、県外からの観光客も多く訪れる。
旧暦8月1日には重要無形民俗文化財に指定されている「お山参詣」が3日間にわたって行われ、「五穀豊穣(ほうじょう)」「家内安全」などを祈願し、津軽一帯から奥宮に集団登拝する。今年は9月15日~17日に予定していたが、岩木山神社によると新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、例年通りの参拝は控え、隊列を組んだ団体での参拝は自粛するよう呼び掛けている。
岩木山神社禰宜(ねぎ)の須藤典子さんは「お山参詣は岩木山大神さまにとって一番大事な3日間。例年通りの参拝は自粛をお願いするが、皆さまの思いを確実にお山に届けるため、今年は新しい参拝方法も示ししたい」と話す。
さまざまな参拝方法があってもいいと話す須藤さんは、SNSでの投稿によって参拝者の思いを集めようと考えた。「アイデアはあったが、形にすることが難しかったため、地元の地域おこし協力隊として活動する鎌田祥史さんに声を掛けた」と須藤さん。
声を掛けられた鎌田さんは東京のIT会社に在籍しながら弘前・岩木地区でリモートワークしていた対馬慎太郎さんに協力を依頼。対馬さんは地元出身で弘前の観光施設などでの勤務経験や青森の景色を撮影するカメラマンとしても活動している。
対馬さんの協力の下、7月22日には同神社初の公式サイトを開設。「お山参詣」に関する呼び掛けをサイト上で発信できるようになった。「岩木山に思いがある人に依頼してよかった」と須藤さん。
「ハッシュタグ百人百色なお山参詣」と題した今回の取り組みは、インスタグラム、フェイスブック、ツイッターから文章、写真、動画といった様式は関係なく、自由に岩木山への感謝や祈りを投稿してほしいと呼び掛けるもの。募集は9月25日まで。
そのほか、SNSに投稿ができない子ども向けには、「おらだぢの山」と題して絵画展を予定している。岩木山のイラストなどを郵送で受け付け、境内で展示するという。当日は頂上からのご来光のライブ配信を行う。
須藤さんは「今年はSNSでつながって、集めた思いは必ずお山にお祈りする」と話す。