青森県板柳町で10月5日・6日、屋外クラフトフェア「7thクラフト小径(こみち)2019」が開催される。
全国から120人以上の作家や地元を中心とした14の飲食店が出店する同フェア。板柳町の中心市街にある全長約2.1キロの散歩道「中央アップルモール」が会場となる。同イベント実行委員長の安田修平さんは「まるでヨーロッパの田舎町を歩いているような場所。もっと多くの人に知ってほしい」と、会場にした理由を語る。
実行委員会事務局スタッフの安田美代さんと修平さんは、鯵ケ沢に工房を構える陶芸家。2001(平成13)年から2010(平成22)年まで鯵ヶ沢で行われたクラフトフェア「C-POINT」の発起人の一人でもあり、2013(平成25)年から「クラフト小径」を毎年開催するようになった。
開催の背景には東日本大震災があったという。「震災当時は2人ともタイにいた。日本の状況はテレビなどからしか知ることができなかったが、知らないタイ人からも『家族は大丈夫か』などと声を掛けてくれた。その中で何もできなかった自分自身に焦燥感があった」と美代さん。
「すぐに被災地に向かった人や長い期間で支援を行う人など、いろいろな思いが人それぞれにあった。私自身は作家としてモノ作りに関わる人として、作家たちの『表現』や『つながり』を少しでも紹介しようと当イベントを考えた」とも。
会場はワークショップスペースのみ実行委員会が設営し、作家たちは当日朝に設営する。「作家たちがそれぞれの気に入った場所で出展することで、意外性を生み出すだけでなく、作品同士の新たな出会いもある」と修平さん。
板柳町役場近くの中央東屋では「こみちカフェ」を展開する。作家の器で味わうコーヒー(300円)やアンジェリック(青森市)が提供するオリジナルスイーツとのセット(500円)を各日100個用意する。店内では同イベントのポスターキャラクター「こみちちゃん」の原画展示も行う。
美代さんによると、「こみちちゃん」のイラストを担当した板柳出身のイラストレーター・土井幸子さんはキャラクターのストーリーを考え、過去7作品を比較していくと「こみちちゃん」の成長が分かるという。「一人でクラフトフェアに来た『こみちちゃん』に恋人ができ、結婚し、家族ができた。今回は自分が出店しているイラストになっている」と明かす。
今年は3年ぶりにタイからの出展がある。修平さんは「タイに滞在していた時、聾学校に勤めていた。過去に2回の出展があったが、生徒たちも訪れ、タイのモビールなどを用意していた。どんな作品を持ってきてくるのかまだ分からない。私自身も楽しみ」と笑顔を見せる。
「クラフト小径」は今年で最後となる。修平さんは「たくさんのスタッフの協力や来場者みなさまの笑顔があったからこそ開催できた。7年間、七色の虹を次へつなげられるイベントとして終了させたい」と話す。
開催時間は、5日=10時~16時、6日=9時~16時。両日、3カ所に駐車場を用意し、各駅停車と急行のループワゴンカー2種類を運行する。乗車無料。