特集

【弘前の未来を考えるvol.6】地域社会の未来のため、活躍できる人材を育成
コラーニングスペースHLS弘前:辻正太さん

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【弘前の未来を考えるvol.6】コラーニングスペースHLS弘前:辻正太さん

人口減少、少子高齢化、空き家対策…。これらの問題は一つの分野に止まらない。今後の社会にとってさまざまな影響を与える課題として山積している。それは青森も同じ。むしろ東京といった都市圏より進行は早く、問題は深い。

2017年に弘前市土手町に開設した「コラーニングスペースHLS」では、奈良県出身で元教員の辻正太さんが10、20年先の将来を見据えて活動しています。「Next Commons Lab 弘前」は、辻さんらが進める「弘前まちなかキャンパスプロジェクト(仮称)」と連携し、ローカルインターン事業とスクール事業を行います。また、2つのプロジェクトを推進する起業家も募集しています。

【弘前の未来を考えるvol.6】コラーニングスペースHLS弘前:辻正太さん

----弘前での関わりを教えてください

埼玉の私立高校で教員をしていましたが、熱い毎日を送る一方で、学校の中では育てきれないと感じていました。10年後にはAI(人工知能)やロボット技術などの進歩により、今の仕事の65%がなくなるといった話(※)があり、学校の中だけで今後の社会に活躍できる人材を養成することには限界があると改めて考えます。

2016年に11年間勤務した高校を辞め、「新しい学びの場を作りたい」と大学時代の先輩が代表を務めるBOLBOPに参画。そして、青森・弘前に移住。コラーニングスペース「HLS(Heart Lighting Station)弘前」を2017年4月に立ち上げました。

※文部科学省提出資料より、キャシー・デビッドソン氏(ニューヨーク市立大学教授)の予測

コラーニングスペースHLS弘前

----これまで関わられた中でどのような可能性を感じていますか?

HLS弘前を立ち上げた理由は2つありました。一つ目は地域社会で活躍できる人材の育成です。弘前は18万という人口規模の街に6大学もある学都で、学生と地域を結びつけやすいのではという側面がありました。全国からまちづくりの分野で活躍するゲストをHLS弘前にお招きしたイベントでは、地域づくりや街の未来に想いをもった学生と社会人が積極的に交流し、ともにプロジェクトに取り組み始めるなど、たくさんの共創が生まれています。

コラーニングスペースHLS弘前

二つ目は、青森はいわゆる課題先進地域という点です。人口減少や少子高齢化、空き家の増加など、解決しなければいけない地域の課題が山積。他県よりそのスピードは早いです。こういった課題を解決できるノウハウや培った経験は、これからの社会を支えていくうえでも、大きな財産になると考えています。

----プロジェクトにどのような思いや狙いがありますか?

10年後、20年後、またはその先の未来を作っていくといった事業です。何か結果がすぐに出せるわけはないため、周囲からの理解を得るのも難しいかもしれません。しかし、だからといってやらなければいいということではなく、誰かがやらなければいけない。今からでも遅いくらいと考えています。

また、学生に地域に触れてもらうのは、街への愛着や郷土愛を育んでほしいからです。街の取り組みに学生時代から関わることで、地域社会に役割を持ち、地域に貢献できる人材を育成します。いったん県外へ出るようなことは仕方ないかもしれません。しかし、再び弘前へ戻って活躍できるような人材を増やしていければと考えています。

----やりがいや苦労はどのあたりにあると思われますか?

このプロジェクトは未来へのまさに先行投資です。すぐに利益が生まれるわけではありませんが、事業のマネタイズは考え、継続性を考えながら進めていく必要はあります。苦労があるとすれば、地域活動は行う一方でビジネスの側面は持ち合わせている必要があり、そのバランスではないでしょうか。

やりがいもすぐに得られるようなことではないかもしれません。しかし、私はこの一年という活動の中で、多世代が交流する場を作り、人と人とのつながりの中で、新しい出会いやイベントが生まれ、たくさんの人が動き出す瞬間に立ち会うことができました。

コラーニングスペースHLS弘前

----一緒に活動する起業家に期待することを教えてください

外から来た目線だからこそ、中の人が感じていないような価値を見つけ、活かしていく方法を考えてもらいたいです。課題に気づいてもらうことも大事だと思いますが、外部から来たコンサルティングという視点では地元の理解を得られることは難しい気がします。

コミュニティの中に入り込み、一緒に考えるというスタンスを大事にし、学生をどんどん巻き込みながら地域の抱える課題を考え、将来の人材を育成していく。そんな活動をともに目指していきたいです。

コラーニングスペースHLS弘前

コラーニングスペースHLS弘前

 

辻正太(つじ・しょうた)
奈良県吉野町出身。埼玉の私立高校で体育教師を続け、2016年に東京のコンサルティング会社へ転職。コラーニングスペースHLS弘前を2017年に立ち上げ、現在に至る。好きな言葉は「ペイフォワード」。休日は、なでしこJAPAN入りを目指す娘(1歳)と弘前公園でボールを追いかけている

Next Commons Lab 弘前とは?

Next Commons Lab(以下、NCL)は、地域リソースに対する事業創出などを目的とした、マルチセクターによる活動プラットフォームであり、新しい共同体です。NCL を立ち上げるために、地域リソースの発掘と可視化、セクターを超えたパートナーシップ、起業家の誘致と支援、地域での拠点整備など、さまざまな施策に取り組んでいます。各地にNCL を立ち上げ、それぞれの地域に沿ったプログラムを実践しながらネットワークすることで新たな社会インフラを整備し、コミュニティ間のネットワークと人材や知見の流動性を高めることで、より自由な生き方を選択できる社会を目指しています。

NCL弘前は「まち全体をキャンパスにする」をコンセプトに、多様な人が集い、知識や経験、技術を持ち寄り、成長する場所、自己実現の場所、革新が起きる場所としてあらゆる場所がキャンパスになることを目指します。 暮しと仕事の実践の中から、世代や立場を越えて学び合い、あたらしい価値とまちの未来を創造します。

» Next Commons Lab

プロジェクトパートナー紹介

» 1.青森→アフリカ→東京、そして弘前。地域を結ぶ コーディネーター:石山紗希さん
» 2.新しい流通のあり方に挑戦する ひろさきマーケット:高橋信勝さん
» 3.究極の地産地消を目指す料理人が醸造するワイン オステリア エノテカ ダ・サスィーノ:笹森通彰さん
» 4.シードル作りとりんご産業の課題に取り組む 百姓堂本舗・高橋哲史さん
» 5.弘前をアートのある街にする Uターンしたまちづくりプランナー:盛和春さん
» 6.地域社会の未来のため、活躍できる人材を育成 コラーニングスペースHLS弘前:辻正太さん

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