グランドパレス2号館(弘前市桶屋町)のスナック跡に12月23日、大学生が起業したIT会社「コラピス」が入居した。
グランドパレス2号館は築50年以上の3階建てスナックビルで、2024年3月に廃業した成人映画館「テアトル弘前」が入居していた。「グランドパレス1号館」とはつながっており、かつては全フロアでスナックやディスコホールなどが入っていたが、現在は1階のみにスナックやバーが営業しているだけになっている。
現在のオーナーは不動産業「キンキエステート」(大阪府大阪市)。「1号館」と「2号館」を取得したのは2019(平成31)年。1号館2階には2020年、スナックの店舗を宿泊部屋にした「GOOD OLD HOTEL(グッドオールドホテル)」を開業。キンキエステート営業部長の野村昇平さんは「昭和レトロな雰囲気が残るスナックビルを面白い場所にしたかった」と話す。
「テアトル弘前」跡地は現在、カフェが併設したイベントホールとして改装中で4月に開業予定。入居していなかったスナック跡の新たな活用法として考えたのが、起業家が集まるようなスタートアップの場だった。「大阪から弘前に通うようになり、弘前は学生が多い街だと知ったことがきっかけ。若い人たちが挑戦できる場になれば」と野村さん。
「コラピス」は2024年2月に弘前大学医学部に在籍する学生3人で起業した。VRやAR、ドローンなどの新しい技術を活用した新製品や新サービスを開発・販売している。社長の峯田陽さんは「自分たちのオフィスが必要となっていた時、グランドパレスのスナック跡を紹介してもらった。弘前にスタートアップに適した場所がなかった」と振り返る。「6カ月間は家賃を免除してくれたこともうれしかった」とも。
野村さんによると、残る13つのスナック跡は今後、さらに学生起業家が入居するほか、レンタルスタジオやオフィス、プライベートジムなどを予定しているという。野村さんは「『未来型秘密基地』をテーマに、働いたり遊んだりできるスペースを作っていければ」と話す。