弘前の衣料品店「暮らしの衣料ストー」(弘前市土手町)で4月17日から、さくらまつり期間限定でドールハウスの展示が始まった。
「ドールハウス」は、16世紀のヨーロッパで子どものおもちゃとして作られたのが始まりという、一定の縮尺で作った模型の家。ままごと遊びを通じて家庭生活や生活習慣を学べるほか、現在では高齢者向けのリハビリアイテムとしても注目を集めている。
展示するドールハウスは、昭和30年代のレトロな商店を再現した「昭和シリーズ」や日本の伝統的民家を再現した「街道シリーズ」など約30点。
3代目店主の須藤豊一郎さんは「衣料品は季節ごとに在庫を入れ替える必要があるが、ドールハウスは年間を通して店に置くことができる。完成品を並べれば見た目も華やかで、土手町商店街の活性化につながる」と話す。
同店は1917(大正6)年創業の老舗。須藤さんの祖父が同市内の堅田町や駅前町で事業を拡大し、時代によって靴店やかばん店を経営したという。土手町に店を構えたのは今から65年前。豊一郎さんが小学校6年生の時だったという。
「当時の土手町は、市民にとってはあこがれのにぎやかでおしゃれな街。子ども心に夢のような気分だった。その当時の雰囲気を再現したい」との思いをドールハウスの展示に込めたという。
店頭には長椅子を設置し、土手町商店街を通る市民や観光客の途中休憩の場所にもなっている。「コーヒーを無料で提供している。ドールハウスを眺めながら歓談の場になればうれしい」と須藤さん。
「昔の土手町は、何かを買うために行くだけの場所ではなく、人が自然と集まり和気あいあいと交流が生まれる場所だった。そういう雰囲気をよみがえらせるために自分ができることを、これからも模索していきたい」と意欲を見せる。
営業時間は9時~18時30分。展示は5月7日まで。