イタリアンパスタレストラン「サッソネロ」(青森県黒石市、TEL 0172-88-7680)が11月13日、移転15周年を迎えた。
築120年の蔵を改装し、東京の十条銀座から黒石に移転した同店。店主の工藤雅義さんの故郷である黒石で、妻・由美子さんと一緒に運営する。店名の「サッソネロ」はイタリア語で「黒い石」を意味する。
工藤さんは高校卒業後に進学のために上京。池袋のファストフード店でアルバイトをしていたところ、同じビルに入居していたイタリアンレストランで働くことになったという。
2002(平成14)年に独立し、十条銀座で「サッソネロ」を開業。いずれは東京ではなく故郷で出店したいとの思いがあり、2010(平成22)年に移転した。工藤さんは「1905(明治38)年に建てられた蔵が気に入ったことも移転理由の一つ。調理場スペースや入り口部分を作り込み、店として整えた」と振り返る。
移転当初は地元メディアで紹介され、客足は順調に伸びたが、東京との客層の違いには驚くことが多かったという。「15年を振り返り、東日本大震災や新型コロナウイルスの蔓延など困難はあったが、新しい課題を与えられているようで、立ち向かう姿勢で営業を続けた」と工藤さん。
移転によってメニュー構成に変化はなかったが、地元の食材を積極的に使ったパスタメニューは増やした。十三湖のシジミを使った「つがるボンゴレ」、リンゴかすで育てた羊肉を使った「黒石産アップルラムの黒カレースパゲッティ」などが代表メニュー。工藤さんは「料理で大切にしていることは、自分の感覚を信じていいということ」と話す。
工藤さんは現在67歳。今年に入り持病の再発があり、今後の営業を考えるきっかけになった。工藤さんは「あと何年続けられるか分からないが、事業承継のようなことは考え始めている。店というよりはこの蔵を次の世代へ渡せるような準備を始めている」と話す。
営業時間は、11時~14時、17時~20時。月曜・火曜定休。