弘前の津軽塗製造「津軽塗たなか」が12月20日、津軽塗の技法を使った新商品「さわるツガルヌリ」を販売した。
開発した新商品は、津軽塗の30以上に及ぶ工程のうち、模様を表現するために欠かせない「仕掛け」と呼ばれる工程を施した凹凸を利用した商品。300ミリリットルのタンブラーとぐいのみに加え、10ミリリットルのスプレーボトルの3種のラインアップでそれぞれ5色をそろえる。
商品を企画したのは、4代目社長の田中寿紀さん。幼少から津軽塗の工場を出入りしていたことから、「仕掛け」の肌触りが気持ちよく、触っても楽しめるような商品をいつかできればと考えていたという。
開発は今年の春からスタート。グラスなどに施した津軽塗商品はすでにあるが、工程途中のものを商品化するのは初めて試み。津軽塗職人から届いた試作品は、塗り加減に課題はあったが、すでに可能性を感じられたものだったという。
当初はタンブラーとぐいのみだけだったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、消毒用に使えるスプレーをラインアップに入れた。「化粧水や香水などを入れられるスプレーボトルとしても使える」と田中さん。
色は「きいろ」「おれんじ」「あお」「ぴんく」「むらさき」で展開し、2色が混ざったデザインとなっている。田中さんは「底と頂の配色や色の選定など、試作を何度も行い、細部までこだわった。塗るために、専用の道具も用意した」と話す。
田中さんは「触るだけでなく、入れた液体によっても見え方に変化があり、楽しみ方に広がりがある。津軽塗の従来の漆器のイメージを覆すような現代風なアレンジ」と自信を見せる。「家庭だけでなく、飲食店などへも展開できれば」とも。
店頭価格はタンブラー=1,500円、ぐいのみ=1,200円、スプレーボトル=990円。年内の販売場所は「工芸ショップTANAKA」(弘前市土手町、TEL 0172-33-4649)とオンラインのみ。年明けから同社商品の取扱店でも販売予定。