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青森で370年続いた竹浪酒造店が再スタート 17代目が新天地で奮闘

再起した新しい竹浪酒造店。左から川口明昭さん、竹浪令晃さん、沢田夏歩さん

再起した新しい竹浪酒造店。左から川口明昭さん、竹浪令晃さん、沢田夏歩さん

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 青森・板柳で約370年続いた「竹浪酒造店」(青森県つがる市、TEL 0173-23-5053)が12月1日、新たな拠点で再スタートした。

旧酒蔵でも使っていた釜を持ち込んで設置した

 創業は江戸初期・正保年間で、かん酒の純米酒をメインとした「岩木正宗」「七郎兵衛」などの看板商品で知られる同酒造店。昨年10月につがる市稲垣町にあった長内酒造店跡地に拠点を移していたが、今年3月に破産。出資者により新会社を設立し、江戸時代から続く前会社の事業を継承した。

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 竹浪家17代目の竹浪令晃さんは新会社で製造を担当する。約20年前から杜氏(とうじ)として酒造りに関わるようになっていた。学生時代は酒造りに興味はなかったが、社会人となり、先代である父を手伝うようになったことから酒造りにのめり込んでいったという。竹浪さんは「なんとか続けられる方法はないか模索していた。県内にこだわる必要もないのではと考えた時期もあった」と当時を振り返る。

 移設した約1350平方メートルの酒蔵跡は、長内酒造から酒蔵としての活用であればと、二つ返事で了解を得られたという。移設期間中には周囲の住民から「頑張れ」「待っているよ」といった声援を掛けられることもあった。竹浪さんは「温かい土地柄とは聞いていたが、期待に応えなければ」と感じようになったという。

 一緒に働くスタッフに、4月に閉店した板柳の老舗菓子店「川口あんぱん」の次男・川口昭明(あきら)さんと昨年5月からアルバイトとして手伝ってくれていた沢田夏歩さんを迎え入れた。川口さんと竹浪さんは同級生で幼なじみ。バーテンダーやイベント企画などの経験があり、コロナ禍で仕事を失っていたことから合流。沢田さんは旧酒蔵からの移設作業に尽力した姿を見て声を掛けた。

 竹浪さんは「まだ準備で忙しく、調えることがたくさんある」と話す。現在は旧酒蔵で仕込んだ在庫が残っており、新天地で作った新酒を出せるのは来春以降になる。「環境が変わり、どのような酒を造れるのかやってみないと分からない。新酒ができたところで、感染状況では需要があるのかといった不安もある」と竹浪さん。「今はやるしかない」とも。

 工場での直売やネット通販、仕掛けたいことは新酒造りのほかにたくさんあるという。竹浪さんは「今までお世話になった皆さまには感謝しかない。これまで続けていた純米酒、かん酒というスタイルを守りつつ、新しいことにも挑戦していきたい」と意欲を見せる。