弘前市浜の町の「かめや食堂」が8月1日、「kitchen KAMEYA」としてリニューアルした。
戦後すぐに始まったという「かめや食堂」は、3代目店主・大澤明子さんの祖母が立ち上げた。県道31号線沿いにあったことから、開業当時はドライバー向けのラーメンやカツ丼などを提供する大衆食堂だったという。「2代目店主の母と父が長く続けていたが、父が他界し、母が1人で店を切り盛りするようになり、不定休も重なり始めていた」と大澤さん。
大澤さんは10代で弘前を離れ、現在は京都に家族がいる。「当初は母に京都へ来てもらい、母の面倒を見ようかと考えていたが、高齢で知らない土地に移り住んでもらうことは厳しいと考え、約40年ぶりに私が弘前に戻ることにした」と話す。
システムエンジニアとして働きながら子育てをした大澤さん。弘前にUターンするに当たり、同様の仕事を探したが弘前では難しかったため、3代目として「かめや食堂」を継いでリニューアルを考えるようになったという。大澤さんは「準備は一年くらい前から始めた。店のコンセプトや提供メニューなどを考え、畑違いの挑戦に一から勉強した」と振り返る。
「カフェのような定食屋」として、車庫だった部分を店舗スペースにし、道路側の壁をほぼガラス張りにした。白を基調にのれんなどに描かれる丼や亀、おにぎりなどのアイコンは大澤さんの夫がデザインした。店の外壁にはフォトスポットを用意。「未完成だが、近々完成する」と大澤さん。店舗面積は約20坪。席数は14席。年配者も利用しやすいようテーブルやカウンターの高さは低くした。
メニューは、和牛すき焼き丼ぶり(1,250円)、倉石牛のステーキ山掛けどんぶり(900円)、ハンバーグ定食(800円)のほか、日替わり丼(780円)、日替わり定食(880円)などを用意。キューバサンド(720円)、ホットドッグ(680円)といった軽食に抹茶あんこアイス(500円)、ブレンドコーヒー(320円)といったカフェメニューも提供する。ラーメン(650円)は唯一、先代から引き継いだメニューとして残した。
7月23日にプレオープンし、準備を整えたという。大澤さんは「当初は子どもやファミリー、年配者を想定していたが、思いのほか若い女性客が来店し驚いた。通勤や移動の途中でリニューアルした店が目に入り気になってもらっているのでは」と話す。
店内のレジやテークアウトのキャッシュレスシステム、ホームページなどは前職の経験から自身で構築した。大澤さんは「畑違いだからこそ、利用客の求められているものをくみ取り柔軟にメニューを変えていきたい」と意欲を見せる。「客が程よく入り、細く長く続けられるようにしたい」とも。
営業時間は、月曜~土曜=10時~15時、17時30分~21時、日曜・祝日=10時~15時。