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弘前の50年続く老舗「車寿司」が移転 創業以来の継ぎ足しタレや変えない味

家族で経営する左から原子力さん、弘子さん、清昭さん

家族で経営する左から原子力さん、弘子さん、清昭さん

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 弘前の寿司とうなぎの専門店「車寿司」(弘前市土手町、TEL 0172-34-6955)が4月20日、弘前パークホテル2階に移転オープンした。

ランチメニューの海鮮丼

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 1969(昭和44)年に開業した同店。現在は原子清昭さんと長男の力さん、妻・弘子さんの家族3人で経営する。移転は今回で2度目。以前の店は山道町にあり、区画整備事業のため立ち退きが決まっていたため3月15日閉店。店の建物はすでに取り壊されている。

 さらに以前は品川町にあった「マルト市場」内で、1982(昭和57)年まで営業していた。店名の「車寿司」は清昭さんが修業した店の名前から由来する。「マルト市場の鮮魚店で働いていたが体調を崩し、一時転職を考えた。兄をたよって岐阜へ行ったが、あった仕事は寿司店。その後も福井の寿司店で働き、26歳で帰郷。マルト市場で働いていた鮮魚店の跡地で独立した」と清昭さん。「自動車は当時、発展の象徴だったことも理由の一つ」とも。

 2代目となる力さんは高校卒業後、親元を離れて飲食ではない仕事をするが21歳で車寿司を手伝うようになった。清昭さんが続けている店をいずれは継ぎ、残したいという思いがあったと振り返る力さん。50年以上続いていることについて「味を変えないという安定感が秘訣なのでは」と話す。

 出前サービスは山道町に移転した時から始めた。2人分以上の注文で、弘前市内であれば対応する。配達車の屋根に店名が入った看板を設置。40年近く続く出前サービスで10台以上は車を乗り換えたという。力さんは「空いた器を引き取りに行くと、『おいしかったです』といった手紙が入っていることもあり、料理人冥利に尽きる」と笑顔を見せる。

 昨年10月に閉店した「麺処居酒屋わらび」の跡地に出店した。店舗面積は約18坪で客席は約30席。カウンターテーブルやのれん、津軽塗の食器などは以前の店で使っていたもの。畳の個室もあり、全席椅子席。

 グランドメニューは40年以上変えていない。にぎり寿司(1,000円~)、うな重(3,000円)、うなぎ定食(3,300円)、ちらし寿司(1,200円)など。ランチメニューにうな丼(1,500円)、海鮮丼(1,000円)、にぎり寿司(1,000円)。うなぎのタレは創業時から継ぎ足して使っており、レシピはすでに力さんに伝えているという。

 今後について力さんは「以前の店は敷居が高い印象があったようだ。ホテルの中に入ったことで、幅広い客層に使われ、気軽に入ってもらえるような店づくりを目指したい」と意欲を見せる。

 営業時間11時30分~14時、16時30分~21時。水曜定休。

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