弘前大学保健学研究科と附属病院看護部が現在、夜間の巡視ライト開発プロジェクト支援者を募集している。
弘前大学大学院保健学研究科の准教授・冨澤登志子さんを中心に集まった看護研究者2人と附属病院看護師4人に、電源メーカー「光城精工」(青森県平川市)が協力し、開発に取り組む巡視ライト。冨澤さんらは「未来を照らす」という意味を込めて「キャストライトオンTSUGARU」という研究チームを立ち上げた。
冨澤さんによると、看護現場において夜間の巡視中に適したライトがなかったという。「日中と同じ照度調整が難しく肌色や血色を確認できなかったり、両手がふさがり診察ができなかったりする。ライトの光で患者を起こしてしまうこともあり、看護師であれば分かる現場の悩みを改善するための開発」と話す。
開発は、冨澤さんが光城精工の芳賀克之社長と知り合ったことがきっかけとなり、2019(平成30)年1月からスタート。同年4月には試作品が完成し、看護スタッフ200人に既存のライトと比較してもらい、アンケートを実施した。回収したアンケートを基に試作品の改良を重ねる予定だった。
冨澤さんは「少なくともあと1~2回の試作品作成が必要で、開発資金が足りない」と明かす。「大学の研究費は特許や新しい発明には使えるが、既存の物に改良を加えるといったことには予算付けが難しい」とも。
開発資金のためのプロジェクト支援者募集は研究・教育分野向けクラウドファンドの「READYFOR College(レディーフォーカレッジ)」を活用する。東北エリアでは東北大学に次いで2例目で、弘前大学では初めての試み。「手続きが大変で、時間がかかり1年以上もかかってしまった」と冨澤さん。
目標金額は97万円。1月24日から始め、2月7日現在75%を達成している。県内外の医療・福祉従事者から支援があったほか、入院していた時にライトで目覚めてしまったという経験を持つ人もあり、悩みは同じといった声が寄せられたという。
冨澤さんは「現場の看護師だけでなく、入院している患者にもストレスフリーとなる。商品化することで全国の医療・福祉現場の改善につなげられる」と呼び掛ける
支援募集は2月28日11時まで。