青森に在住する女性3人が4月5日、青森県産食材を使ったペット犬向け菓子「みんなのおやつ」の販売を始めた。
ペット犬と飼い主が一緒に食べることのできる同商品。昨年12月に弘前へ移住した兵庫出身の自営業者・藤原奈央子さんが発案し、家庭犬ドッグトレーナーのタナカアカリさんとペット食育士の阿保昌子さんが監修した。化学調味料・保存料無添加で、砂糖や油も使っていないのが特長。
藤原さんは高校卒業後、沖縄で民宿や道の駅で勤務した後、阪神淡路大震災で被災した際のお返しが何かできればと、東日本大震災で被災した仙台に移住。飲食店で勤務しながら、イベントなどで青森のリンゴ農家と交流を持つようになったという。「転職を考え始めた際、リンゴ農家さんに声を掛けてもらい、昨年は農作業の手伝いをするため弘前には何度も通っていた」と藤原さん。
弘前に移住後、リンゴを使った菓子などを作ろうと考えていたが、藤原さんは「リンゴのジュースやジャムといった加工品はありふれていたため、別の食品を作ろうと悩んでいた時にホームセンターでペットフードにリンゴが入っていることを知った。青森ではペットもリンゴを食べているのだと勘違いしたことが商品開発のきっかけ」と振り返る。
「知り合ったばかりのタナカさんに相談したところ、阿保さんを紹介してもらい、リンゴはペットも食べることができる食材と教えられ、レシピのアイデアも教えてもらった」と藤原さん。試作品は、タナカさんが運営するトレーニング教室「わんこようちえん」の犬に食べてもらい、改良を重ねていったという。
「最初はゴロゴロした大きな塊のドライリンゴや骨のように太いスティック菓子だったが、小型犬でも食べられるよう薄くスライスしたり小さく加工したりして、改良を加えて完成に至った」とタナカさん。「ドッグフードは人間が食べてもおいしくないが、当商品は味があり、おいしく食べられる」とも。
ラインアップは、リンゴを乾燥させた「ドライりんご」(10グラム)、リンゴの皮と国産小麦と全粒粉を使った「グリッシーニ」(15グラム)(以上、320円)、旬の野菜を使った「野菜クッキー」の3種類で、「野菜クッキー」は4月中の発売を目ざしている。
藤原さんは「一つずつ手作りで大量生産はできないが、飛びつく犬や飼い主が喜ぶ姿を見るとうれしい。売り上げの20%は保護犬や保護猫の避妊去勢手術の支援活動に充てる。ペットマナーの向上につながるような取り組みにも力を入れていきたい」と意欲を見せる。
現在はネット販売のみだが、今後は弘前の雑貨店などでも販売していく予定という。