青森・黒石で7月15日、世界一の登り窯を作るプロジェクトが始まった。
同プロジェクトリーダーで黒石出身の土屋美奈さんは現在、クラウドファンディングサイト「Readyfor(レディーフォー)」を通じて、完成すれば「世界一長い」という101メートルの登り窯を作るための資金支援を呼び掛けている。土屋さんは父の今井理桂さんのために同プロジェクトを立ち上げた。
今井さんは平安時代に焼かれた常滑焼の壺に感動し、26歳で陶芸を始める。45年間の活動の中で、「国際公募美術家連展 総務大臣賞」「れん展 内閣総理大臣賞受賞」などさまざまな賞を受けた。現在は「烏城焼(うじょうやき)」として、黒石・豊岡に工房と窯を構えて活動を続けている。
土屋さんによると、登り窯は斜面を利用して焼成用の室が連なるように作る窯で、上に行くほど余熱の効果で早く焼成することができるという。「まきの灰が作品に降り積もり、高温になって溶けた自然釉(ゆう)の焼き物は、灰を運ぶ炎にさらされ続けるほど複雑に発色し、想像を超えた焼き上がりとなる」と土屋さん。
今井さんはこれまで二度の登り窯作りに参加。その経験を生かして1996年から100メートルを超える登り窯作りに着手した。94メートルまで築窯(ちくよう)したが、豪雪で窯小屋の屋根が崩壊したり二度のがん治療で築窯が進まなかったりしたという。
目標金額は500万円。支援金の主な使途内訳は、窯づくりに使用するレンガ代。支援額は5,000円~100万円で、リターン品には烏城焼作品や窯炊き体験などを用意する。
土屋さんは「70歳を超えた父があきらめず、まだ挑戦を続けようとしているプロジェクト。衰えることがない創作意欲で作品を生み出している父の背中を後押しできるよう、力をぜひお借りしたい」と呼び掛ける。
プロジェクト支援は9月30日まで。