9月29日発刊の「大人の科学マガジン」(学研教育出版)に、弘前大学教育学部美術教育講座准教授の冨田晃さんが監修として携わった。
スチールパンは手作りであるため、一つとして同じ音が出るものはないという。弘前大学のスチールパン部で撮影
「エレクトリック・スチールドラム」と題した同誌はスチールパンを大きく取り上げ、ミニスチールパンとピックアップを使ったアンプ&トランスミッターが付録になっている。スチールパンは、ドラム缶の上面をパン(鍋)状にくぼませて、表面に凹凸を作ることで音程をつける打楽器。木琴や鉄琴とは違った南国をイメージさせる音色が特長で「20世紀最後にして最大のアコースティック楽器」とも言われている。
冨田さんは静岡県浜松市出身で、1989年に青年海外協力隊員としてホンジュラス共和国で活動する。その後も米国やメキシコ、インドネシアなどの国々でさまざまな活動に従事。1998年には「ナショナル・ジオグラフィック・ジャパン第1回フォトコンテスト」大賞を受賞した経歴もあり、2002年から弘前大学に勤務している。
スチールパンとの出会いはニューヨークの大学に通っていた時。同楽器の発祥の地トリニダード・トバゴ出身者たちとの交流からだった。「音が生まれる」過程が好きだという冨田さんは、ジャズやラテンのバンド活動を行っていたが、ドラム缶から手作りで一つ一つ制作するスチールパンに興味を引かれたという。
弘前大学に赴任した冨田さんは、全国の大学では初となるスチールパン部を立ち上げ、スチールパンに関する著書も出版。「大人の科学マガジン」には監修だけでなく、写真の提供や付録であるミニスチールパンの制作にも協力している。
ミニスチールパンはオリジナルの型盤を使い、鉄板を4秒間に1枚のスピードでプレスして製作。ラインにのって次々に作られていくスチールパンの光景に感動を覚えた冨田さんは「スチールパンの普及には量産が欠かせなかった。これを機にスチールパンが日本で普及してくれれば」と期待を込める。
価格は3,300円。全国の書店、オンライン書店などで取り扱っている。