弘前を中心に活動するものづくり研究所「FUJILABO(ふじらぼ)」が3月14日、2周年を迎えた。
津軽塗の技法をベースに考えたという「宇宙塗」。宇宙のような模様が浮かぶ
「デザインとアートをより日常化する」をコンセプトに宮城出身でデザイナーの藤原恵介さんと弘前出身の藤原歩さんが立ち上げた「FUJILABO」。イベントへの出展やコラボ作品の展開、ワークショップなどを定期的に行う。
恵介さんは祖母の家にあった津軽塗の食器に関心を寄せ、2010年に弘前で津軽塗を修業。翌年4月には弘前へ移住し、名刺やロゴといった商業デザインの仕事を受ける傍ら、津軽塗の作品を手掛ける。唐(から)塗と呼ばれる技法に引かれたという恵介さんは「できる模様に不確定要素が強く、同じものを作れない神秘的な技法」と話す。
津軽塗をベースに自身で考えたという「宇宙塗」で、iPhoneケースなどを製作する恵介さん。「デジタルであれば同じものがいくつも作れるが、津軽塗などのアナログ作品は1つしかない。自分の中でバランスを取っているのかもしれない」と話す。
歩さんは高校卒業後、仙台のデザイン専門学校へ進学。仙台で就職したが、出産などを経験し、弘前にUターン。子育てに専念してデザインからは遠ざかっていたが、依頼を受けて手描きしたイベントの会場マップが来場者や主催者に喜ばれたことから、イラストを再び描き始めた。FUJILABOの立ち上げにつながったという。
FUJILABOでは恵介さんが津軽塗の作品を担当し、歩さんが「ミツメ」というオリジナルキャラクターのグッズを担当する。エプロンやバッグなどの地元作家らとコラボした商品を展開し、ウェブサイトでの販売も行っている。
2年を振り返り、歩さんは「保育園でワークショップを行ったことがあり、既製品を使ったものづくりではなく、子どもたちの自由な発想で作れる内容にした。私自身が保育園に通わせている親として違和感があったことをワークショップに盛り込み、保育士さんから『思い付かなかった』といった反応がありうれしかった」と話す。
恵介さんは「音楽や飲食、ファッションなどが一つのデザイン作品として発信できるように昨年から『lay_out(レイ-アウト)』というイベントを企画している。これからも弘前にアートとデザインを楽しめる場をもっと作っていきたい」と意欲を見せる。