弘前市沢田地区で3月5日、450年続く奇習「沢田のろうそくまつり」が行われた。
沢田地区は旧相馬村にある集落の1つで、同市の中心市街から15キロほど離れた南西の山間部にある。この日、人口わずか25人しかいない同集落に県内外から約2500人に見物客が訪れ、過去最高の人出となった。
同祭りの起源は約450年前までさかのぼり、壇ノ浦の戦いで滅んだ平家の霊を供養したのが始まりと言い伝えられ、同集落は「平家の落人の里」とも呼ばれている。現在では、高さ10メートルほどの岩壁にある「沢田神明宮」の祠(ほこら)やその参道にろうそく約1500本を立て、ろうの垂れ具合でその年の豊凶を占ったり合格や五穀豊穣(ほうじょう)を祈願したりする。
見物客の中には、大きなカメラや三脚などを携えたアマチュアカメラマンや「カメラ女子」の姿が多くあった。初めて訪れたという30代女性は「写真を撮りに車で2時間以上もかけて来た。幻想的なろうそくの雰囲気が良いので、すてきな写真が撮れそう」と笑顔を見せた。
主催する「沢田ろうそくまつり実行委員会」の田澤俊則さんは「この限界集落の小さな祭りに、弘前大学の学生など、地域内外から関わってくれるスタッフが100人以上いる。伝統を伝えていくだけでなく、地域の活性化につながれば」と話していた。