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弘前で「農家×パティシエ」人材育成事業始動 農業法人と洋菓子店がタッグ

(左から)人材育成事業に乗り出す百姓堂本舗社長の高橋哲史さんとボンジュール店主の関浩司さん

(左から)人材育成事業に乗り出す百姓堂本舗社長の高橋哲史さんとボンジュール店主の関浩司さん

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 「弘前シードル工房kimori(キモリ)」と洋菓子店「ボンジュール」が3月18日、リンゴ農家とパティシエを兼ねた「未来のりんごの担い手」育成事業を始める。

後継者育成農場「kimoriキャンパス」での技術指導の様子

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 キモリを運営する百姓堂本舗はシードルの醸造や原料となるリンゴの自社生産、後継者育成農場「キモリキャンパス」の運営による就農者の指導などを行っている農業法人。ボンジュールは「弘前アップルパイ総選挙」では3連覇を果たすなどアップルパイが人気の洋菓子店で、津軽地域に姉妹店3店舗を展開する。

 ボンジュール店主の関浩司さんは「日本一のリンゴ生産量を誇る津軽地方でも、生産者の高齢化や後継者不足が課題となっており、生産者数は減少の一途をたどっている。リンゴを使った商品を取り扱う菓子店などでは加工原料が不足するなどの影響も出始め、本年産の『ふじ』は加工事業者間で争奪戦になっていた」と話す。

 関さんと旧知の仲という百姓堂本舗社長の高橋哲史さんは今回、農家としてリンゴ生産を学びながら洋菓子として自主加工する技能を身に付ける、新たな形の人材育成事業を発案。採用者はキモリの正社員としてリンゴ生産やシードル醸造の作業に携わりつつ、農閑期中の年間90日程度をボンジュールに出向し、パティシエの技能を学ぶ。

 高橋さんは「就農を考える人にとって大きな不安が、リンゴ作りだけで生活できるかということ。農業に洋菓子の加工販売をプラスすることで生活プランをより具体的にイメージしてもらえるのでは」と話す。「大半の農家はこれまで、加工販売については後々に学ぶのが通例だったが、同事業に参画することで生産技術と加工技能を一度に習得できる」とメリットを強調する。

 関さんは「アップルパイで商売が成り立っている面があるが、加工用リンゴの確保が年々難しくなっている。農家とパティシエを兼ねた人材がリンゴ産業の担い手となることでリンゴの作り方も変わっていき、加工の無駄やコストも省かれることで新たな価値を作れるのでは」と期待を寄せる。

 4月20日は事業参加志望者を対象に、リンゴ農家とパティシエの仕事が体験できるバスツアーを行う。参加無料。参加申し込みはグーグルフォームで受け付ける。

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