津軽地方を中心に青森の一部の自動販売機が、冬季は稼働を停止している。積雪や利用客が見込めないなど理由はさまざま。
自動販売機の管理・運営会社「サンベンディング青森」(青森市馬屋尻清水流)の社長・吉田宏さんは、「雪かきや商品の補充中に確保する駐車スペースが冬季だと取れない場合があったため、15年ほど前から冬の販売を休業している」と話す。
同社の自動販売機の稼働停止期間は12月上旬から3月中旬まで。天候や積雪の状況で判断するという。「業界内では一度休業した自動販売機は客離れするというのがセオリーだったが、当社の場合、利用客が減らなかった」と吉田さん。「自動販売機の冬季休業は当社が全国で初めてかもしれない。それほど業界内では大きな反響があった」とも。
吉田さんによると、冬期に稼働を止める津軽地方の同社の自動販売機は約40台。農地などを中心に市街にもあるという。「巡回する冬季のコストや手間を考えると、販売を休業した方が良かったという当社の都合だったが、利用客から『今年も終わってしまうんだね』とか『また来年だね』といった声を掛けられることがある」と吉田さん。
稼働停止中の自動販売機には「2023年、春。雪解けの頃お会いしましょう」という張り紙をしている。吉田さんは「営業を再開すると、『今年も始まるね』と喜んでもらうこともあり、自動販売機を通じて交流できる地元の人たちの理解や協力に感謝している」と笑顔を見せる。