建築デザイン事務所「mizuiro architects(ミズイロ アーキテクツ)」(南津軽郡藤崎町、TEL 0172-65-2137)が6月23日、創業60年を迎える。
葛西瑞穂さん、瑞樹さん、瑞都さんの3兄弟で運営する同会社。創業は1961(昭和36)年。3人の祖父・佐太郎さんが建設会社「陸奥ブロック」として創業した。1991(平成3)年には父・諭さんが商号を「陸奥ホーム」に変更し、2019年に元号が令和となったタイミングで「ミズイロ アーキテクツ」に社名変更した。
「ミズイロ」は3人全員の名前に「瑞(みず)」があったことと、周囲の環境に溶け込みどんな状態にも変化する水のように変化していきたいとの思いから命名した。瑞都さんは「陸奥ホームから社名を変える時、仕事が減るのではといった心配の声もあったが、結果として一般向け住宅以外の仕事が増え、事業の幅が増えつつある」と話す。
瑞都さんによると、近年はカフェや美容室などの営業店舗や児童施設の建築や酒蔵のリノベーションなどを手掛けるようになったという。
3人の役割は、長男の瑞穂さんが現場監督を担当し、共に一級建築士である次男・瑞樹さんと三男・瑞都さんが設計を担当する。瑞都さんがメインで担当したカフェ「Little Nook(リトルヌック)」(弘前市百沢)や「丘の上の木の下のcafe SHIZUKU(しずく)」(南津軽郡藤崎町)、「CUT BOX 954」(弘前市泉野)は、どれも住居兼店舗で、依頼主の希望や土地、利用シーンに合わせて建造した。
瑞都さんによると、依頼主とのヒアリングには時間をかけ、納得するまで話し合いを重ね、イメージを形にしていくという。「私は、施主が完成像をイメージしやすいようCGでなく模型を作ることが多い。形にすることで初めて見えてくることもある」と瑞都さん。「羅針盤」(青森市浪岡)を担当した瑞樹さんは「弟2人が図面を書き、現場で造る兄がさまざまな要望に黙って建ててくれる。息のあった3人ではある」と話す。
2019年8月にはスペースデネガ(弘前市上瓦ヶ町)内に事務所兼ギャラリーを設け、過去の手掛けた物件や進行中プロジェクトの模型などを置く。見学は自由。
「しっかりデザインされた住宅でも、居心地の良さや使う人の生活を考え抜いて建てられている」と瑞都さん。その土地やその場所でしか建てられない建築を増やしていきたいという。
「当社の60年だけでも建築業界には形式や流行があった。今までは『目指すべきお手本』があり、それを量産してくような街並みで、個性や文化が消えていった時代でもあった。価値観が多様化する現代では、その人個人が好きといった価値観やさまざまなライフスタイルに応えられる建物を作ることが大切。弘前に限らず、地域の魅力を生かせられるような楽しい建物に今後も携わっていきたい」とも。
ギャラリー営業時間は10時~18時。火曜定休。