弘前公園近くにある「藤田アイス店」(弘前市紺屋町)が5月10日に投稿したツイートが話題を集めている。
「すいません…母ちゃん張り切り過ぎました…」で始まる同ツイートは、縦横約24センチ、高さ約35センチの一斗缶(18リットル)が積み重なった写真と共に、「母『だって今年さくらまつりあるって言ったからぁあああ!!!』気合入れて作ったけれど、一斗缶アイスが430缶余ってるそうです…」(原文ママ)と続いている。
昔ながらの「カランカランアイス」で知られる屋台アイスを製造販売する同店。現在は藤本レイ子さんが金正藤田正紀商店の2代目社長として、冷蔵冷凍倉庫業やアイス製造販売業を経営している。藤本さんによると、ツイートは東京に住む娘によるもので、ツイッターは昨年4月に娘が開設。藤本さんは「コロナ禍で娘が遠くから手伝おうと作ってくれた。私もたまに投稿している」と笑顔を見せる。
5月9日に「さくらまつりはどうだった?」と娘から連絡があったことがきっかけだった。今年の弘前さくらまつりは、史上2番目の早咲きだった桜に加え、強風や雨などの天気に恵まれなかった。園内は通行規制や食べ歩き禁止などの感染症対策を行ったほか、アイスの販売場所は通常とは違う場所を指定されたという。
「通常のさくらまつりであれば一斗缶800~1000缶が、まつり期間中にほとんど売れる。母の代から続いたアイス販売で、過去を振り返っても380缶が最低の売り上げ。さくらまつりの開催が決定したと聞き、平時の約半分にあたる450缶を今年は作ったが、売れたのはたった20缶だけだった」と藤田さん。
「実情を娘に伝えたところ、写真を送ってほしいと返信があったため、保管している一斗缶アイスの写真を送った。ツイートした本人も驚くほど情報が拡散して、山口や熊本といった販売もしたことがないようなところから問い合わせがある。SNSはよく分かっていないが、びっくりするような影響力」とも。
現在、1万5000リツイート、2万5000以上のいいねが寄せられている。「欲しいけど、冷凍庫に入らない」「小分けしてくれたら絶対買います」(原文ママ)といったコメントが寄せられ、少しでも力になりたいという声が多数を占めている。
藤本さんは「販売サイトで小売りの注文が増えているが、サーバーが落ちてしまうこともあり、不便をかけて申し訳ない。突然の注文に社員全員で対応しているが、時間がかかってしまうこともある。感謝の気持ちを込めて必ず送るのでお待ちいただければ」と話す。