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青森でリンゴ農家対象QOL健診 大手メーカーも協力

筋力やバランス力をテストする2ステップテストに挑戦する参加者

筋力やバランス力をテストする2ステップテストに挑戦する参加者

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 リンゴ生産者向けのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)健診が3月18日・19日、青森で行われた。

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 弘前市が青森県りんご協会(弘前市城東中央)と弘前大学COI(センター・オブ・イノベーション)研究推進機構と連携して行った同健診。リンゴ生産者を対象にした健診は県内では初めて。全国でも珍しいのではと話すのは弘前大学大学院医学研究科フレイル予防学研研究講座助教の和田啓二さん。「リンゴ生産者は自営業が多く、定期検診などに行く人が少ない。短命県と呼ばれる青森県で第一産業従事者の寿命が短いことはデータで明らかになっている」とも。

 「COI」は文部科学省が採択する革新的イノベーション創出プログラム「COI STREAM」の略。弘前大学では2013(平成25)年に採択され、同市岩木地区(旧岩木町)の住民を対象とした約600項目の健診データを10年間にわたって継続的に収集するプロジェクトを行っている。取得したビッグデータを解析し、健康寿命の延伸や病気の予兆発見などに生かすという。

 両日で受診したリンゴ生産者は約50人。QOL健診の項目は握力や骨密度など全8種。弘前大学のCOIに参画している生活用品メーカー「ライオン」は口内検査、調味料総合メーカー「カゴメ」は野菜摂取量を計測する皮膚カロテノイド測定(ベジチェック)、日用品メーカー「花王」は独自の技術で開発した「腹部生体インピーダンス法」を使った内臓脂肪測定で協力した。

 「健診というと、それだけで血圧が上がってしまうケースもあり、運動会のような楽しい気持ちで参加してもらいたかった」と和田さん。診察者が掛け声を出したり、笑顔で迎えたりするなど、会場内はにこやかな雰囲気で行われた。

 測定データはその場で渡し、測定後は健康教室を開催した。検診結果の読み方や健康づくりの方法などを伝えたほか、今後、月1のフォローアップ教材を10カ月にわたって提供する。効果測定やビッグデータを活用したソリューションを提案し、来年2月には再度QOL健診を実施予定。今回の測定結果と比較して健康について理解を深めるという。

 和田さんは「青森のリンゴはおいしくて県外に贈るといつも喜ばれる。そんな青森のリンゴを今後も作り続けてもらいたいため、リンゴ生産者の皆さまには健康でいてほしい。平均寿命や健康寿命を延ばす一助になれば」と話す。

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