弘前公園近くのデイサービスセンター「サンタハウス弘前公園」(弘前市元大工町、TEL 0172-88-7707)が現在、国際協力機構(JICA)海外協力隊訓練生を受け入れている。
同センターで現在受け入れている訓練生、壱岐満明さんと大野久美子さんの2人は今年4月以降、マーシャル諸国共和国とケニアにそれぞれ派遣予定だったが、新型コロナウイルスの影響で国外に出ることができず、海外活動ができなくなっていた。
特別派遣前訓練コーディネーターの加藤亮さんによると、海外協力隊隊員は日本国内で約2カ月の合宿訓練を受けた後、開発途上国に赴任することになるが、現在は集団での訓練を行うことが難しいため、全国21カ所に分かれて「特別派遣前訓練」という初めての取り組みを行い、派遣のタイミングをうかがっているという。
壱岐さんは茨城在住の67歳。商社勤めで、マレーシアなどで働いた経験を持つ。海外協力隊員は2回目で、ネパールに赴任したことがあるという。「青森は学生時代の修学旅行で訪れた程度。青森に行けることを知った時は驚いたが、活動ができるのであればと思い心を決めた」と壱岐さん。
大野さんは東京在住で公務員だったが、50歳という節目で退職し、長年の夢だった青年海外協力隊員として4月から活動する予定だった。大野さんは「4月以降の活動が新型コロナウイルスで白紙になったため、派遣先が青森と知らされた時、不安はあったがなんでも挑戦するつもりだった」と話す。
2人は9月8日に弘前へ着任。2週間の隔離期間を経て弘前での活動を始めた。主な活動はデイサービスセンターの手伝いだが、移住者目線で、弘前での日常や体験を発信する役割も与えられた。受け入れた「サンタハウス弘前公園」の阿保英樹さんは「当社では住む場所を提供しているため、仕事を手伝っていただくだけではなく、弘前滞在で気付いた弘前の魅力を発信してほしい」と話す。
フェイスブックページやインスタグラムなどを開設し、SNSでの情報発信に挑戦している。10月6日の活動はリンゴ収穫の手伝いで、市内のリンゴ園を訪れた。大野さんは「今回は『とき』の収穫を手伝ったが、『とき』という品種があることを初めて知った。黄色いリンゴがこんなにおいしいということも初めて知った」と笑顔を見せる。
赴任期間は3カ月を予定しており、今後も弘前市内での活動を続けるという。壱岐さんは「アウトドアと温泉が好きで、弘前には興味がある場所が多い。発信は素人同然。今後の活動にも生かせられるように積極的に発信していきたい」と意欲を見せる。
大野さんは「初めてのことばかり。津軽の食文化に興味があるので、食べ歩きなどをして、魅力を見つけていきたい」と意気込む。