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弘前のバー「待庵」移転 30年のキャリア持つバーテンダー

店主の渡邊直人さん

店主の渡邊直人さん

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 弘前のバー「Bar待庵(たいあん)」(弘前市土手町、TEL 0172-33-5139)が6月1日、スマイルホテル弘前1階に移転した。

移転した「待庵」店内

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 オリジナルや季節のフルーツなどを使ったカクテルをメインに提供する同店。バーテンダー渡邊直人さんが経営する。待庵は千利休が戦国武将をもてなした茶室で、カクテルでもてなしをしたいという思いから名付けたという。

 21歳の時から繁華街・鍛冶町で働くようになった渡邊さん。「夜の仕事はお金になるイメージだったから」と振り返る。カラオケパブのボーイとして働いた際に店主がバーテンダーだったことからカクテルに興味を持ち始めたという。1993(平成5)年に「バーブロックハウス」(新鍛冶町)、2002(平成14)年には現在のスカイパークビル1階に「バーラジオ」、2004(平成16)年にかくみ小路で「Bar待庵」を開業。同時に3店のバーを経営していた。

 渡邊さんは1999(平成11)年に日本バーテンダー協会主催の全国バーテンダー技能競技大会課題部門で優勝に輝いたことがあり、弘前マイスター認定者にも選ばれている。作家・伊集院静さんが「文藝春秋」で執筆を手掛けた連載コラムで紹介した全国12店のバーの一つで、東北では唯一紹介された店だった。

 「移転は2、3年前から考えていた」と渡邊さん。県外客が増えてきたことから、観光案内や宿泊ホテルの心配などをするようになったことがきっかけだった。「ホテル内にあるバーであれば、お客さまの宿泊を心配することなく、アルコールを楽しんでもらえるのではと考えた」とも。

 店舗面積は8坪、客席数は13席。以前の店舗にあった組子細工や障子、棟方志功の版画は持ち込んだ。カウンターテーブルは一枚板にこだわり、幅60~70センチのセンノキのムク材を使う。渡邊さんは「以前からお付き合いのあった『かさい材木店』(外崎)の先代社長が20年前から寝かせていたものを使わせていただいた。感謝しかない」と話す。

 メニューは、スタンダードカクテル(850円~)、マンスリーカクテル(1,000円~)、旬のフルーツカクテル(1,000円~)、フレッシュフルーツカクテル(800円~)など。ハッピーアワーを設け、19時まではチャージ料無料。期限付酒類小売業免許を取得したことから、現在は約20種のウイスキーの量り売りにも対応する。30ミリリットル=400円~、100ミリリットル=900円~。

 3月21日に移転のため前の店舗を閉店し、当初は4月20日にオープンする予定だったが、緊急事態宣言や休業要請があり、開業日を6月1日まで延ばした。渡邊さんは「幸いなことに新型コロナウイルスの影響は開業日が遅れただけだが、昔のように酒を提供するだけで客が来るような時代ではなくなった。バーテンダーの在り方が問われているのでは」と明かす。

 30年近くバーテンダーとして働いた渡邊さん。カクテルに対する考え方も変化しているという。「以前は決められた分量のカクテルを提供し、それを守ることがバーテンダーだと固執していた。最近はお客さまに合わせて分量や提供方法を変えている。バーテンダーとして退化しているのかもしれないが、喜んでもらおうという姿勢は変わらない」と話す。「昔は60歳で引退するつもりだったが、今は70歳までやろうと思っている」と笑顔を見せる。

 営業時間は15時~24時。

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