弘前公園の中堀に生息していた白鳥が1月6日、死亡していたことが分かった。
死亡した白鳥はコブハクチョウで、長年にわたり内堀を泳ぐ姿などが見られ、多くの市民や観光客から親しまれていた。死亡は、公園緑地課職員が1月5日10時30分に中堀石橋近くで確認し、翌6日、死亡を知らせる看板を設置した。
担当者によると、初めてコブハクチョウの記述があった資料は1972(昭和47)年8月という。「ニッカウヰスキー仙台工場へ白鳥寄贈の返礼として当市で飼育していたクジャクのつがいを寄贈していることから、白鳥はそれ以前につがいで2羽寄贈され、弘前公園で飼育していた」と話す。
同年10月には繁殖し7羽となり、1976(昭和51)年3月に青森平和公園(青森市)へ3羽を譲渡。鶴田町へ観察用として貸し出したほか、12月に2羽飛び去ったといった記録もあり、1979(昭和54)年9月に横手市に2羽譲渡したことまでが記録に残っているという。
「資料を改めて調べてみると、最大で15羽がいた記録もあった。クリッピング(羽切り)を施していたため、今回亡くなった白鳥はおそらくこの15羽のうちの1羽だったのでは」と担当者。「職員の記憶では土渕川まで飛んで行った白鳥を回収しにいったこともあったようだが、記録が残っていないため詳細は分からない」とも。
ネット上では、「そこに居るのが当然だった(中略)ご冥福をお祈りします」「公園を散歩するときは『今日も元気かな?』と無意識に探してしまう存在だった」「ただただ悲しい。天に昇ったらきっと仲間が待っているよ」といった哀悼の意を表するコメントが数多く寄せられていた。
同担当者は「市民によってさまざまな名前がつけられるほど、長い間、愛された白鳥。当園では今後動物を飼育することはできないため、本当に最後の1羽だった。安らかに休んでほしい」と話す。
死亡した白鳥は1月7日、公園緑地課職員有志によって手厚く葬られた。