弘前市非公認ご当地ヒーロー「お祭大将ヤーヤドン」が10月5日、千葉で開催された「2019日本ローカルヒーロー祭」に初参加した。
ヤーヤドンは弘前大学大学院教育学研究科1年生の清藤慎一郎さんが卒業制作の作品として作ったキャラクター。今年1月に完成し、弘前ねぷたまつりやあおもり10市大祭典などに参加し、地元民の間で少しずつ知名度が高まっている。
青森・弘前生まれの清藤さんは2015(平成27)年、弘前大学に入学し、教育学部生涯教育課程芸術文化専攻(現在は募集停止)に在籍していた。「仮面ライダーなどの特撮ヒーローが好きで、特殊美術造形を学ぶ道を選んだ」と清藤さん。「大学受験の前や高校に登校する際はお守りに変身ベルトを使ったこともあったほどヒーロー物に憧れていた」とも。
大学の卒業制作を考えた際、「ねぷた」「デザイン」「特撮ヒーロー」が合致し、「ご当地ヒーロー」に結び付いたという。清藤さんは「ヤーヤドンという名前は弘前ねぷたの掛け声『ヤーヤドー』から。かっこよさはないかもしれないが、少し抜けた性格という設定」と話す。
ヤーヤドンの背中には、ねぷたの山車にもある見送り絵が描かれている。「見送り絵には『どんこ』という人格を持つ別キャラクターを設定した。しっかり者でヤーヤドンを文字通り後ろから支えている」と清藤さん。ベルトは金魚ねぷた型「キン坊」を装着し、変身・強化に使う設定もあるという。
制作には試行を重ね、素材を決めるまでに何度も試作を行ったという。ホームページやツイッターは自ら開設し、情報を積極的に発信する。清藤さんは「地元の夏祭りなどに参加すると『見ているよ』などと声を掛けられるようになり、イベントへの出演依頼もいただくようになった。感謝とうれしさしかない」と明かす。
「日本ローカルヒーロー祭に参加して、あらためてヒーローの力を感じた」と清藤さん。「ヒーローは子どもたちを笑顔にする力がある。先輩ヒーローたちを見て自分自身も勇気をもらい、造形なども参考になった。今後のヤーヤドンに活用していきたい」と意気込む。
今後について、「ヤーヤドンを主人公としたドラマ化や津軽地方の地域によって異なる『ねぷた・ねぶた』を使ったご当地ヒーロー制作といった展望や夢はたくさんある」とも「最終的な目標は自分の作ったヒーローをきっかけに、弘前や津軽に興味を持ってもらえるようになること」と笑顔を見せる。