昨年2014年5月6日に旗揚げ公演を行った同劇団は、約200人を動員。その後も公演を積み重ね、5月6日にはヒロロにて第4回公演「サクラと飴の大騒動」では約300人を動員し、幅広い世代から笑い声と温かい拍手が送られた。
初心者たちが演じる芝居の魅力は何か。来場者は、「子どもたちの成長」と口を揃えて言う。「1回目より2回目、2回目より3回目とどんどん子どもたちの演技力が上がっている。毎回違ったキャラクターを観るのが楽しみ」とこれまでの全公演に足を運んでいるファンも多い。旗揚げ公演で主役を務めた「アルプスおとめ」外崎さんは、「今の私があるのは劇団のおかげ。今でも(劇団は)大事な場所で、毎回演じるのが楽しい」と話す。
「りんご娘」の下部組織である「アルプスおとめ」や「リーフ」(練習生)は普段イベントでバックダンサーを担当することが多いが、同劇団ではこれまで全公演、りんご娘以外の子どもたちが主役を務めている。キャスティングを担当したりんご飴マンは、「意図的にそうしている訳ではなく、オーディションでの子どもたちの演技を見て選んだ結果だが、りんご娘以外の子どもたちがチャンスと思って奮闘してくれていることはうれしい」と話す。「サクラと飴の大騒動」では、妖怪を演じた自身の衣装を自分たちで製作したという。
劇団RINGOAMEの舞台は、地元で活躍する人たちの全面的な協力によって支えられている。第2回公演では弘前中央高校の演劇部に所属する高校生がキャストとして参加、第4回公演では「弘前城雪燈籠まつり」にてプロジェクションマッピングを手掛けた葛西薫さんが立体的な映像を映し出す「ホログラフィー」を担当した。
演出を担当するJAM☆RINGO氏は「皆さんの支援なしに劇団RINGOAMEは成立しない。本業がある中で時間を割いて協力いただいていることに毎回本当に助けられている」と感謝を述べ、「近年では学校の部活動も廃部が相次ぐ中、地元の演劇経験者が活躍できる場所が限られてきつつあると思う。そういった方々とも積極的にコラボレーションをさせてもらい、地元が一体となって創り上げる劇団を目指したい」と話す。
さらにJAM☆RINGOさんは弘前の子どもたちが抱える問題を説く。「弘前の子どもたちは都会の子たちと比べて、エンターテイメントに触れる機会が圧倒的に少ない。その中で、本物のエンターテイメントを見ないまま育ってしまうと、将来の可能性を狭めてしまうのではないかと。劇団は(演じているうちに)物の見え方が変わる瞬間がある。子どもたちの人間としての物の見え方や考え方の貯金として劇団が役に立てばいいと思うし、『どうして弘前に生まれてしまったのだろう』と嘆くより、『弘前に生まれたから、こういう経験ができた』という気持ちを持てる子どもたちが増えれば、地元に携わりたい、という気持ちが自然に湧いてくるはず」と話す。
子どもたちと一緒に成長する劇団RINGOAME。このような活動が普及していくことで、弘前の地域活性化に繋がるかもしれない。