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青森と神戸の連携で生まれる新しいビジネス「ともに発展する未来へ」

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提供:青森県 制作:弘前経済新聞編集部

2020年3月に神戸空港と青森空港を結ぶFDA(フジドリームエアラインズ)の就航便がデビューし、今月で3周年を迎えます。青森と神戸を結ぶ直行便で、観光やビジネスの期待が高まりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、そのムードは沈滞してしまいました。しかし、FDAはコロナ禍でも青森と神戸の運航を継続。そんな中で青森・神戸両地域のビジネス交流の気運醸成を図るため、2022年度から青森県が「神戸とつながり発展するビジネス交流推進事業」を始めました。

青森と神戸に新たなビジネス連携を

「神戸とつながり発展するビジネス交流推進事業」は、withコロナ、アフターコロナとも言われる今後を見据え、県内の事業者と神戸市やその周辺地域の企業が連携し、新しいビジネスモデルの構築やビジネス連携の創出を目指す事業です。八戸と弘前で、「事業共創ワークショップ」を行い、どちらのワークショップにも30~40人の事業者らが集まりました。お互いの価値観の違いやビジネスで協働できる部分などを模索する時間となったようです。中にはワークショップの出会いからビジネスプランに結びついたケースもありました。

弘前のワークショップの様子

事業を始めた青森県地域産業課マーケティング支援グループでは、このほか、ビジネスマッチングや気運醸成のための情報発信などに力を入れ、ビジネス交流を推進しています。青森県地域産業課の吉田綾子さんは「青森県と神戸市は、これまでもりんごや県産米の輸出などでビジネス交流がありますが、さらに直行便で2時間以内と近くなりましたので、交流を増やすことで新しいビジネスが生まれるのではないでしょうか」と期待を寄せます。

青森の施設などの視察も行った

2023年2月1日、神戸に本社を置く「株式会社フェリシモ」の本社ビル内にある「Stage fellisimo」で、「青森×神戸・事業共創ビジネスプランコンテスト」モデルプラン最終審査会が開催されました。青森と神戸を結ぶことができるようなビジネスプランを来年度以降、青森県が応援するといった企画で、最終審査会では、ワークショップなどから生まれた6つのビジネスプランの発表がありました。

事業共創ビジネスプランコンテスト会場の様子

神戸と青森を結んだ商品開発のストーリー

最初に発表したのは、弘前市の菓子製造販売の「株式会社ラグノオささき」。営業本部本部長の柳井俊彦さんが登壇しました。「ラグノオ」では、神戸UCCグループの「UCCコーヒープロフェッショナル株式会社」とフードペアリングを意識した商品開発を行っています。第1弾は「お菓子にあうコーヒーの開発」をテーマに「ラグノオ」の人気商品「アップルパイ」と「チョコレートケーキ」に合うコーヒー「アップルパイブレンド」と「チョコレートケーキブレンド」を開発。今回は、第2弾として「和スイーツ」の人気に着目し、ラグノオのロングセラー商品「生どら焼」にUCCのコーヒーを組み合わせた「生どら焼・珈琲(コーヒー)」を開発しました。

「生どら焼・珈琲」の開発を語るラグノオささきの柳井俊彦さん

商品開発の背景には柳井さんの存在がありました。柳井さんはもともとUCCに在籍したキャリアがあり、その縁でUCCとのビジネス連携が始まりました。商品開発はコロナ禍で行われたため、実際に会ったり打ち合わせしたりすることは叶わず、オンラインがメインとなりましたが、試作や改良を繰り返して開発を進める中で、両社の担当者が積極的に発言し、意思疎通や連携がスムーズに行われたようです。

会場では「生どら焼・珈琲」を試食した

商品は3月末から発売予定。4カ所で行われるUCCグループのコーヒー製品の体験や食材の試食・試飲ができる「UCC Smile Festa」への発売PRも予定しており、今後の展開が期待されます。

シードルの関西プロモーションを「あら、りんご。」が提案

2番目のプレゼンは、十和田市から「株式会社A-WORLD」社長の古里宣光さん。「青森シードルの関西プロモーション」と題したビジネスプランを発表。当日はオンラインでの参加となりました。

オンラインで発表した

「A-WORLD」は2021年10月に誕生した会社で、母体である「株式会社ワールド・ワン」は神戸や大阪を中心に飲食店を経営しています。「ワールド・ワン」の代表的な店の一つ、青森りんごの専門店「あら、りんご。」は2019年に神戸1号店をオープン。青森産のリンゴを使ったアップルパイやりんごジュース、りんごジェラートといったスイーツを提供し、行列ができるほどの人気店となりました。2022年4月には青森県内の道の駅奥入瀬「奥入瀬ろまんパーク」内に「あら、りんご。」を出店。旧奥入瀬麦酒館の民営化から「OIRASE BEER」を開業し、「A-WORLD」が運営しています。

古里さんは青森県庁の元職員。青森の魅力を発信していきたいという思いから、青森と関西をつなぐビジネスを考えていると言います。今回のビジネスプランでは、青森シードルに焦点を当て、関西エリアでの認知度向上と販路拡大を図りたいと発表しました。背景にはシードルが全国にまだ浸透していないという課題があります。しかし、実際に飲んでもらうとリピーターになるといったポテンシャルの高さがあると、古里さんは話します。

今後の具体的な展開として、「あら、りんご。」の店舗内でのペアリングイベントを企画。連携している「弘前シードル協会」と、試飲会を開催。青森と神戸の観光・経済交流へ貢献しようと意気込みを語っていました。

神戸「オリバーソース」と青森B級グルメ&シードルなど地元のお酒とのペアリング選手権

3番目の登壇者は、平川市から参加した「タグボート株式会社」の企画部・今村星(あかり)さん。「タグボート」は平川の温泉施設「福家」を運営するほか、昨年から新規事業としてシードルづくりに挑戦。醸造所「クレイジーサイダーファクトリー」を開設し、アフターコロナの社会に対応した会社づくりを目指しています。

会場の笑いを誘うプレゼン内容となった

今村さんが発表したビジネスプランは、各地でグルメイベントは開催されているが、食とお酒をテーマにしたペアリングイベントは少ないという気づきから、神戸のローカルグルメ「どろソース(オリバーソース)」を活用した青森のB級グルメと、シードルをはじめとする地元のお酒で「ペアリング選手権」を行いたいというものでした。

プレゼンする今村星さん

ペアリング企画のアイデアは、八戸で行われた事業共創ワークショップで神戸市の食品メーカー「オリバーソース株式会社」との出会いでした。神戸と青森の直行便が運航されていることから、ペアリング企画の発祥は青森とした上で、離れたエリア同士が協力し合い、お互いの経済を発展させるというモデルは全国まで広げることができるのではと展望を語る今村さん。最初の企画として「どろソース」と「クレイジーサイダーレッド」のペアリングを審査委員に試食してもらった今村さんは、ペアリング選手権の手応えを感じていたようです。

オリバーソースの企画室室長の道満龍彦さんも駆け付けた

ブロックチェーンを活用、2025年の万博を見据える

4つ目は弘前市から「株式会社Ridun(リズン)」の永井温子さんが登壇しました。「Ridun」はリンゴの生産や加工品の販売などを手掛ける会社で、永井さんはリンゴを使った新しい産業を作りたいと弘前に移住しています。発表したビジネスプランはブロックチェーン技術を活用したサービスで、京都市の「有限会社カサアンドカンパニー」と連携して行います。

プレゼンする永井温子さん

永井さんと「カサアンドカンパニー」との出会いは、永井さんが弘前移住のきっかけとなった「Next Commons Lab(ネクストコモンズラボ)」という全国10以上の拠点で地方創生や社会をアップデートするローカルベンチャー事業を行う団体との関わりでした。リンゴと何かを掛け合わせた「新しいモノ」を生み出していく取り組みについて、ブロックチェーン技術のひとつ「NFT(Non-Fungible Token)」を使って、「RINGO JAM NFTプロジェクト」としてコミュニティを作り、加速させたいというのが狙いとなっています。

カサアンドカンパニー代表の中森健さん

永井さんは、具体的なプランとして、リンゴとカカオを掛け合わせた商品を開発し、そのプロモーションとして、2025年に開催される大阪・関西万博の認知拡大を目的とした「EXPO酒場」の青森店を開催し、「RINGOJAM NFTプロジェクト」のコミュニティ拡大の契機にしたいと語っていました。そして、そのコミュニティで第2弾、第3弾の商品開発を進めていく計画です。

青森のモノ・コトを、神戸を通じて広く発信

5番目は「公益社団法人青森県観光国際交流機構」と青森市のデザイン会社「株式会社ツクリダス」との共同プレゼンとなりました。「青森のモノ・コトづくりを神戸へ」をコンセプトに、神戸の通信販売会社「フェリシモ」と共同で商品開発や販売を手掛けるというものでした。

右から青森県観光国際交流機構の秋田佳紀さんとツクリダスの千葉武さん

「青森県観光国際交流機構」の秋田佳紀さんは、地域の関係者を巻き込み、地域資源のブランド化をしていくことが重要とし、地域商社を2023年に立ち上げると明言。第1企画として「津軽こぎん刺し」のキッド開発をこぎん刺しの関係者と共に作っていくと発表。次の企画は、板柳町の「キープレイス株式会社」とリンゴ箱を活用したオリジナルの収用ボックスの開発に触れていました。

プレゼンでは、青森の強みは伝統工芸や地域産業といったコンテンツ力で、神戸の強みは世界にも発信できるマーケティング力にあると指摘。2つの強みが共創することにより、イノベーションを起こすことができるのではといった内容となりました。

青森の食は先進的で観光コンテンツ化できる

最後の発表は、食育料理家で八戸市の「株式会社フードコミュニケーション」のなぎさなおこさん。青森の郷土料理と神戸の食のプロフェッショナルを掛け合わせ、青森の食を世界にも誇れるような観光資源にしたいという内容でした。

なぎさなおこさんのプレゼン

なぎささんは、青森の郷土食を巡る「LOCAL GUSTRONOMY TOUR」を実施し、神戸のシェフに青森の郷土料理を食べてもらったり、生産の現場を見学したりするツアーを企画しました。兵庫県芦屋市の「株式会社Bio Sophia」常深大輔さんは青森を視察し、青森の食のレベルの高さに驚いたと語ります。「例えば、津軽の郷土料理を提供する『津軽あかつきの会』と神戸のトップランナーとして活躍しているシェフの料理には通じるところが多くあった。世界のトップレベルと言っても過言ではない」と常深さん。

右から、Bio Sophiaの常深大輔さんとフードコミュニケーションのなぎさなおこさん

今後の展開として、神戸の飲食店で青森の郷土料理のエッセンスを取り入れたメニュー開発や青森から神戸の食を堪能するツアーを企画するなど、交互の食文化交流を目指すとなぎささん。最終的には一般客向けのツアーを展開したいと意欲を語っていました。

最後は青森ポーズで集合写真

編集後記

コンテストの総評としてフェリシモの矢崎和彦社長がこんなことを語っていました。「100年先を作っていけるようなビジネスが生まれることを期待したい」。

その昔、日本には日本海の離れた港町などを結び交易で栄えた北前船文化というものがありました。北は北海道から南は神戸にも寄ったという交流の文化です。青森県ももちろんその影響を多大に受け、今日に至っています。それこそ100年先を作ったビジネスといってもいいのではないでしょうか。

交通や情報が発達していない当時ですら、交流による文化や経済の発展があったことは、現在において大きな道標です。コロナによる閉塞感がまだ残る時代。その殻を打ち破ったり一歩踏み出せたりするためには、100年先をも目指す今回のような距離に縛られない「交流」なのかもしれません。発表された6つのビジネスプランは今後、さまざまな形でみなさまに知る機会があることでしょう。未来の一歩として、ぜひともに進んでいければと感じました。

INFORMATION

神戸とつながり発展するビジネス交流推進事業

「神戸とつながり発展するビジネス交流推進事業」は、2023年度も引き続き取組を実施します。企業交流の企画など、最新情報はホームページで公開しますので、ぜひご覧ください。

INFORMATION

祝!FDA青森・神戸線3周年!!
「地参地翔」を理念に事業を展開するFDAについて、もっと知りたい方は、こちらの同社SNSもご覧ください。

FDA各種SNSリンク

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