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商品のチカラを伝える力「AOMORI UP!~アップルのチカラをアイデアでアップする~」

提供:青森県商工労働部新産業創造課 制作:弘前経済新聞編集部

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青森にたくさんあるりんごの商品。その中からユーザー(消費者)に商品価値を伝えるために必要なことは何か。弘前でりんごの機能性を生かしたユニークな商品を開発する「医果同源りんご機能研究所」とデザイン会社「デザイン工房エスパス」が二人三脚で開発した商品の事例と、販売側の視点として弘前れんが倉庫美術館に併設する「カフェ&レストラン ブリック」を取材しました。

医果同源とエスパスとの出会い

城田弊社の始まりは2004(平成16)年になります。所長の城田安幸は、弘前大学農学生命科学部でりんごの機能性の研究をしていました。ポリフェノールが多く含まれている未熟りんごの多くは廃棄されていました。有効活用はできないものだろうか。そこで開発したのがりんごジュース「医果同源」でした。

医果同源りんご機能研究所の城田文香さん

りんご農園を営みながらりんごの持つ機能性を研究し続けている中で、所長の城田がりんごの葉に「フロリジン」というポリフェノールの一種が含まれているという発見に出会い、10年の歳月をかけて生まれたのが「りんご葉の茶」。中国でお茶として飲まれている「湖北海棠(こほくかいどう)」という品種にこだわり、手摘みをした葉を風通しの良い場所で数日間乾燥させ、有機JAS認証の茶工場に運び、焙煎しています。

医果同源で2019年から販売を始めたりんご茶の葉

商品を開発する上で「公益財団法人21あおもり産業総合支援センター」に相談し、広告宣伝やパッケージデザインをデザイナーに依頼して作ってみてはとアドバイスを受けました。そこで紹介されたのが「デザイン工房エスパス」の木村さんでした。それまでパッケージは自社で作成していて、会社のロゴデザインも当時のものは所長が作っていました。

木村お話をいただいた時、「医果同源」という会社はかなり特徴あるなと感じました。りんごの研究をしていた大学の先生が立ち上げた会社です。しかも商品づくりのためにりんごを栽培し、デザインや販路までご自身で今まで作り上げていました。普通の会社であるわけがない(笑)

デザイン工房エスパスの木村正幸さん

デザインで私が大切にしていることは、その会社のことを深く知ることです。まずは現場に行ってみる。話を聞く。依頼されたのは「りんご葉の茶」ですけど、そこに至るまでの医果同源さんの積み重ねを知らないといけない。有機栽培している農園にも行き、城田所長にいろいろなことを教えてもらい、熱量を感じることができました。

デザインの過程で生まれた課題

木村気になったのが「医果同源」のロゴデザインでした。今までの販売戦略は機能性を重視した学術的なアプローチが強かったですが、これからの目標はそのコンセプトは変えずに、顧客層を広くすることでした。

左が旧デザイン、右が新しいデザイン

旧ロゴは和の要素が強くて、今後の商品展開を考えていく上ではもっと間口を広くとりたい。となれば、デザインとしては洋にも合うもの、ニュートラルなロゴのデザインの方が展開しやすいなと思ったんです。

城田「りんご葉の茶」のデザインを依頼しただけなのに、会社のロゴまで変えたいという話をいただいた時は、正直悩みました。15年も愛着を持って使ってきていたし、会社ののれんにもなっていました。でも、若い人にも届けていきたい、総合的に考えると今がタイミングだと決断しました。

木村一生懸命で熱心な人ほど、言いたいことがたくさんあり、あれもこれもと情報を盛り込みすぎる傾向にあります。「買って!買って!」と前のめりで売り込みが強い商品は嫌じゃないですか。ちょっと引いてしまうというか。一生懸命な人ほどそういった商品を作ってしまう。整理するのは一人だと難しいのかもしれません。

城田私自身、デザイナーという仕事が何なのか知りませんでした。しかし、木村さんと一緒に仕事をしていく中で、伝えたいこと、思っていることを整理しながら取捨選択して、そぎ落としていただいているように感じました。自分たちの会社が本当に言いたいところ、言わなくてもよかったところを木村さんとつくりあげていきながら学ぶことができたと思います。

学びが多かったと語る城田さん

木村私の仕事は一緒に作り上げていくスタイル。知らないことは聞くし、それはお互いさまで、重要なことは信頼関係。互いの仕事に敬意を払う。それができないと仕事がしづらい。医果同源さんとも最初の仕事だったので判断も大変だったと思いますが、こちらも信頼されるように精一杯説明もする。それを信じていただけたことが、いい仕事につながったんじゃないかと思います。

デザインの役割は商品の価値を伝えること、と話す木村さん

「りんご葉の茶」の何を伝えるか

城田木村さんに最初にお願いしたことは、「りんごの葉っぱだけで作ったお茶」を伝えることでした。お茶で、ヘルシーで、機能性成分も入っているので、ターゲットには30~40代女性を想定。今までだったら、なんでもアピールすればいいと思っていました。有機栽培で品種にもこだわっていて、フロリジンという成分が含まれている。でも、木村さんにパッケージを作っていただいて、最初に伝えたいこと、次に伝えたいこと、パッケージの中に理論的なエッセンスを取り入れていただいていると感じました。

木村まずは興味を持って手に取ってもらうことの仕組みを考えることが大事です。学術的なことを一生懸命伝えるんだけど、伝えられる側はやがてそれが苦痛になることもあります。商品に関しても似たところがあって、本当に伝えたいことはぐっと我慢して後ろに忍ばせておく。

城田私たちとしては、もっと広く機能性を理解していただきたい。でも、お客さんには難しかったりもするので、あえていちばん前面に機能性を持ってこない、という説明を聞いて、ハッとさせられました。実際に商品展示会に持っていくと、ターゲットである女性の方に手に取っていただいて、一番多かった声は「かわいい」でした。「りんごの葉っぱで作ったお茶なんです」と声をかけると、「そうですよね、葉っぱの形ですから」と説明をしなくても伝わっていました。

テーブルクロスもパネルなどのディスプレイもエスパスに依頼した

木村デザインを考える上で、大切なことは消費者の行動をイメージしてみること。たくさんの商品が並んでいる売り場で、足を止めてもらうにはどうすればいいのか。その次に手に取ってもらうためにどういう形があるのか。手に持ったらおそらく次は商品の裏を見る。裏を見たときに書かれてあることが、買おうかどうか迷っている背中をポンと押す。そういったことを戦略的に考えられれば、いい商品パッケージになるのではないでしょうか。

城田りんごの機能性を多くの人に知っていただいて、喜んでいただける商品を届けたい。「医果同源」として最終目的は変わりません。そのために必要なプロセスが、まず手に取っていただき、説明を少しずつ読んで納得していただく。そのうえで、買って飲んでいただく。この過程においてデザインはすごく重要な位置を占めます。売り手の目線ではなく、消費者の立場に立ったデザインを意識して、商品を開発してきたいと思います。

木村よく商品にデザインで価値を付けるという人がいますが、それはおこがましいこと。デザインの役割は商品の価値をきちんと伝えること。パッケージデザインを変えて売れるようになったとしても、それはデザインが価値を付けたのではない。商品の価値がデザインによってきちんと伝わるようになったということだと理解しています。

城田さんと木村さん

バイヤーとしてりんご葉の茶を扱った理由

奈良岡「カフェ&レストラン ブリック」は、弘前れんが倉庫美術館に隣接する商業施設です。イートインできるレストランや物販スペースもあります。展覧会の関連グッズのほか、弘前ならではの伝統文化を感じられるギフトであったり、弘前、地元で活動している作家の作品だったり、弘前にゆかりのある商品を約300点扱っています。

カフェ&レストラン ブリックの奈良岡真弓さん

りんご葉の茶は、「グラフィックデザイナーの1年展(※)」を行った時に見つけました。りんごの葉っぱで作っているというのが、見た目だけで分かるデザインが魅力的でした。木村さんのデザインはいつもおしゃれな感じで、青森県特産品コンクールで青森県知事賞に輝いた「ふかうら雪人参ビーフシチュー」のことも個人的には覚えていました。

※日本グラフィックデザイン協会青森地区(JAGDA青森)が主催する展示イベント

売り場ではパッケージの見せ方が重要になります。消費者にとって商品がおいしいことは当たり前。それは絶対条件です。お茶に関してもラインナップがたくさんあり、いろんな会社が作っています。その中で商品の魅力が、初めて見る消費者でもすぐにイコールになるというか、目を引くもの。りんご葉の茶は、形が葉っぱをイメージされている点がいいなと思いました。

りんごの葉っぱで作られたお茶というのを初めて聞いたといった声が多いという

「りんご葉の茶」は、お客さまが手に取ってくれる率も高いし、売れる率も高いです。パッケージが可愛いですし、りんごの葉っぱで作られたお茶というのは初めて見たという方も多いです。私は「医果同源」さんは知っていて、りんごの健康を打ち出した商品を作られているのも知っていました。「りんご葉の茶」は、健康を前面に押し出していなくて、さりげなく実は健康なんだよという感じがいいなと思いました。

少し前まで、「あおもりPG(プロテオグリカン)」配合の「林檎石鹸」という商品を販売していたのですが、1個3,000円くらいで石鹸としては高価ですが、県外で比較的高齢の女性を中心に購入していただいて、瞬く間に完売しました。特に、健康とか美容を前面に押し出していないんですが、りんごは体にいいというイメージなのか、こちらから商品説明をすることなく売れたことに驚きました。例えば、ドラッグストアなどでは、そうした健康を前面に出したほうがいいと思いますが、パッケージのデザインは売り場に合わせることが大事だと思います。

ブリックの物販スペース

私たちは常に売り場に陳列するイメージを意識しています。いくら優れている商品でも、店に置いた時に違和感があれば、その機会ではないと判断します。こればかりはタイミングの問題もあります。世の中はいい商品であふれています。せっかく頑張って開発した商品なのに、良さが伝わらないまま、世に出てしまってもったいない。デザインを変えることで売れたりとか、お客さまが興味を示してくれることもある。その大切さをもっとわかってもらえるといいですよね。

弘前の地域性で、りんごの商品は通年で消えることはない。でも意外と地元でりんごのグッズって少ないと思うんですよね。りんごはもらうものだと思っているから(笑)。だからこそ、地元でりんごのグッズをあげたり、もらったりというのも大事にしていきたい。先日、若い女性が友達の二十歳のお祝いにシードルをあげたいと真剣に悩んで選んでいるのを見て嬉しく思いました。地元でもらう、あげる文化のようなものが広がってくれれば、「りんご葉の茶」のように目を引く魅力的な商品のつくり手さんも増えてくれるんじゃないかと期待しています。

AOMORI UP! 伝えるチカラをアップする~機能性の伝え方

AOMORI UP!~アップルのチカラをアイデアでアップする~

国内外でブランドが確立されているりんごは、健康や美容のニーズに応える大きなポテンシャルを秘めています。青森県では、健康美容産業の振興に向けて、りんごを使った機能性商品(健康志向食品等)の開発を推進しています。

りんごの力とアイデアで、新たな価値創造に成功した事例をご紹介しています。健康美容ニーズに応える商品開発のヒントに、ぜひご覧ください!

青森県では、機能性表示食品や健康志向食品の開発推進に向け、専門家の無料相談会や伴走支援を実施しています。詳しくは、県新産業創造課までお問合せください。
TEL: 017-734-9420

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