弘前の久渡寺(弘前市坂元)で6月12日、円山応挙(まるやまおうきょ)の書いた幽霊画が1時間だけ限定公開された。
円山応挙は京都で活躍した江戸時代中後期の絵師。同寺の住職・須藤光昭さんは「幽霊画を収める箱書きによると、幽霊画は3軸ありこの絵は円山応挙が初めて描いたもの。応挙の存命中に京都から運ばれて当寺に寄進された」と話す。
「モデルとなった幽霊は、幽霊を見たことがないため幽霊画を描けなかった応挙の前に、自らの命を絶って現れた応挙の妻の姿という説があり、公開日は応挙の妻が亡くなった日に行っている」とも。
この日は、12時の開場前から10人ほどの見学客が訪れた。今年は洋ろうそくだけでなく、初めて和ろうそくを使ったという。「和ろうそくの炎のゆらめきが、当時の様子を再現しているのでは」と須藤さん。
「毎年、公開日には雨が降ると言われている。今年は朝から晴れていたので、雨は降らないだろうと思っていたが、公開した1時間の間に雨が降り、非常に驚いた」とも。
東京から幽霊画を見るために訪れたという40代女性は「和ろうそくの明かりの中で見ると、描かれている女性の表情がさらにやわらかく見え、肌がより白く見えた」と話す。