弘前・下湯口エリアを中心に活動する「下湯口ふくろうの会」が5月10日、設置したフクロウの巣箱の観察会を開いた。
下湯口のリンゴ農家を中心に弘前大学農学生命科学部の研究者らが結成した同会。ネズミによる食害からリンゴの木を守るために2014年から活動を始めた。同会会長の石岡千景さんは「ネズミの被害はリンゴ農家にとっては死活問題。フクロウは繁殖期に1家族あたり1200匹のネズミを補食すると言われている。フクロウを増やすことでネズミを少しでも駆除できれば」と話す。
石岡さんによると、青森のリンゴ農園にはかつてフクロウが営巣できるような「樹洞(じゅどう)」を持つ古木が多く存在していたため、フクロウが数多く営巣し、自然にネズミの生息数も抑制されていたという。「リンゴの生産量を増やすには若い木に更新していく必要があった。そのため大きな樹洞は姿を消し、フクロウの営巣も見られなくなっていった」と話す。
同会が今年設置した巣箱は55箱で、営巣に至った巣箱は7箱、21羽のヒナを確認した。同日は集まった同会のメンバー約20人が4箱の巣箱を観察し、巣箱のヒナやすでに巣立ち樹木の上で休息するヒナの姿などを見つけた。
岩手大学連合農学研究科博士課程のムラノ千恵さんは「フクロウがどの程度リンゴ園のネズミ抑制の効果を持つのか、フクロウが営巣しやすい環境とはどんなものなのか、今後さらに検証する必要がある。継続的に巣箱の設置を進めてフクロウの生息数を増やしていくことで最終的にはリンゴ生産者さんに役立つことができれば」と意欲を見せる。