青森県弘前市を舞台にしたという漫画「ふらいんぐうぃっち」の第3巻が4月10日に発売される。
藤田記念庭園をモデルにしたという洋館での1コマ。3巻から抜粋
青森にやってきた魔女・木幡真琴が、居候先の親戚たちと過ごす日常を描いた同作。2012年9月から「別冊少年マガジン」で隔月連載が始まり、現在までに単行本2冊を発行。同市では「弘前が舞台になっている」と話題となり、ネットでは「何も起きない日常を描いた漫画」として、「ポスト『よつばと!』」といった評価もある。
作者の石塚千尋さんは同市出身で、現在は同市で漫画を執筆している。「魔女の日常を描きたかった」と着想の原点を話し、同市を舞台にしていることについては「魔女の日常だけでは足りなかった。地元を舞台にすることで漫画として成立できた」と解説。「静かな弘前の雰囲気が魔女の生活に近いのでは」とも。
舞台を探す取材は主に自転車で同市を回っているという石塚さん。ストーリーの骨組みやコマ割りなどを決めるネーム作成の際に編集者と打ち合わせをするため上京し、約1週間東京に滞在する。ネームを作成した後は、弘前に戻って原稿を描く。「東京でデビューして地元に戻った漫画家は珍しい。担当する漫画家の中では彼一人」と話すのは編集者の川窪慎太郎さん。「独特の世界観を表現できる漫画家」と評価する。
「3巻も何も起きない魔女の日常を描いています」と石塚さん。「表紙は一度提出したものを自分でボツにした」と解説し、「生活感のあるイラストに描き直した」と話す。青森県内での同漫画の売り上げは全国で約8%を占めているという。「地元の人たちに支持されていることは素直にうれしい」と笑う。今後の展開について、「地元の祭りや行事を題材にしていきたい。舞台も弘前だけでなく青森県内にも広げていきたい」と意気込みを見せる。
価格は463円。