青森・津軽地方の田んぼに水が入り、映り込む「水鏡の景色」が見える季節になった。
津軽地方では5月中旬から田んぼに水が入り、田植えが順次始まる。現在、水田の水鏡を生かした写真の投稿が地元民を中心に相次ぐ。
退職記念にもらったカメラでSNSへの写真投稿が趣味となった五十嵐雅幸さんは、この季節になると早起きし、近所の散歩コースから岩木山を撮ることが多くなった。「早朝だと風がなく、水面が乱れていない。透き通った一瞬の美を見て少しでも心が癒やされる人がいれば」と話す。
五十嵐さんが5月12日に投稿した写真は、4時に起床して撮影した岩木山。「ようやく好きな岩木山のリフレクションを撮れる季節になった。投稿した岩木山の写真に、さまざまな表情がありますね、とコメントをもらうこともあり、うれしい」と笑顔を見せる。
ツイッターアカウント「しも」さんは、つがる克雪ドーム(五所川原市唐笠柳)が水田に映る写真を3年前から毎年撮影している。「息子から『ドームを撮ればパックマンになる』と言われ、撮影してみたのが始まり。近所の人ほど驚く反応があって面白い」と「しも」さん。
風がなく夜間に同ドームが営業している時に撮影のチャンスが訪れるという。「ドームの営業は毎日ではないので、電気がついていたら現場に向かう。観光地の写真ではなく、近所にあるものを楽しく撮って、SNSを通じて地元民以外の人にも楽しんでもらいたい」と話す。
ツイッターアカウント「丸目多聞」さんは、6年前から仕事帰りに弘南鉄道弘南線柏農高校前駅(平川市荒田)近くから水田に映る電車と夕日を撮っている。「当初は水鏡主体ではなく、夕日と列車と岩木山を撮影していた。撮影していた時期が田んぼに水が入ったことと偶然重なり、水田に映る景色も撮り始めるようになった」と「丸目多聞」さん。
「今年は風が強くてシャッターチャンスに恵まれないが、日に日に見物に来る人も増え、SNSの投稿も増えている。稲が成長してしまうと見ることができない今だけの景色だが、身近にこんな景色があることに地元民だが毎年感動を覚える」とも。