弘前出身のケーナ奏者・岩川光さんと、アルゼンチンのギタリスト、キケ・シネシさんのライブが3月19日、「専求院(せんぐいん)」(弘前市新町)で行われた。
ケーナはアルゼンチンの伝統的な縦笛で、岩川さんは9歳の時に出合い、12歳より演奏活動を始めた。弘前大学在学時には南米各国へ赴き、岩川さんはキケさんを始めアルゼンチンの奏者らと共演を果たした。2013(平成26)年からアルゼンチンへ移住している。
キケさんはアルゼンチンを代表するギタリストで7弦ギター奏者の先駆者。岩川さんにとってキケさんは憧れの存在で「10代の頃からこんな音楽家になりたいとずっと願ってきた」という。2人の初共演は2010(平成22)年で、デュオアルバムも2枚発表している。
ライブ会場は専求院の本堂。阿弥陀如来像のある間で演奏した。岩川さんは「中学校の頃からお世話になってきた方も見に来てくださっていてドキドキしている」と来場者に語りかけ、3年半ぶりとなる弘前での演奏を披露。ライブの途中には、自作のケーナを披露し、3種類の大きさの違うケーナを「でっケーナ」と駄じゃれで観客の笑いを誘った。
弘前には前日から滞在しているという岩川さんとキケさん。「キケさんとの日本ツアーは、もはやグルメツアー。お昼は『中みそ』を食べた」と岩川さん。自身のツイッターでは、ほほ笑んだキケさんが中みそラーメンを箸で持ち上げる写真を投稿している。キケさんは「今回のツアーでは日本の文化、人の温かさ、懐の広さをより感じることができた」と話す。
全12曲を披露した2人にはアンコールの拍手が鳴り響いた。キケさんは「世界で一番美しい拍手」と、アンコールに応えた。
2人の日本ツアーは3月21日の盛岡公演で終了。岩川さんは4月からアルゼンチンのほか、欧州各国でワールドツアーを行う。