弘前市観光館(弘前市下白銀町)で11月24日、「歴史的建造物利活用セミナー」が開催された。
「歴史的建造物を利活用した分散型ホテル構想」の実現可能性を探る同セミナー。地域の文化・観光・まちづくりの関係者や興味関心のある事業者や地域住民ら約80人が集まった。
講師は、全国31地域で分散型ホテル事業を展開している「NOTE(ノオト)」(兵庫県)の藤原岳史さん。講演では、藤原さんの故郷である丹波篠山市を中心に「歴史的建造物を利活用した分散型ホテル構想」の具体的な事例について話した。街全体を1つのホテルとして考え、点在する空き家をホテルフロントや客室、レストラン、カフェといった施設に再生。宿泊客の街歩きを促し、地域活性へつながる仕組みを説明した。
藤原さんは「日本の地方には地域独自の風景や建物が残る。地域が衰退すると、貴重な風景や文化財も消滅の危機になる。空き家となった古民家や文化財を活用して、100年先につながる地域を目指していきたい」と話す。
セミナー後のパネルディスカッションでは弘前市商工会議所の土岐俊二さんやゲストハウス経営者の石山紗希さんらが登壇し、「弘前市の歴史的建造物を活用した観光まちづくり」について議論した。藤原さんは「弘前市はさくら祭り・ねぷた祭りが目的の通過型観光地と言われることもあるが、城下町として歴史的建造物や街並みが多く残っており、新たな観光拠点として高いポテンシャルを秘めている」と話す。
弘前市では今後、分散型ホテルについて考えるワークショップも開く予定という。