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弘前の国登録有形文化財で営業する美容室 旅行客のリポートで話題に

築約90年の店内・エントランス

築約90年の店内・エントランス

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 弘前の美容室「Vintage premium(ヴィンテージプレミアム)」(弘前市元寺町、TEL 0172-35-1214)が現在、「贅(ぜい)を尽くした洋館で髪を切ることができる」とSNSで話題を集めている。

帝国ホテルを模したという外観

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 国登録有形文化財の「旧高谷家別邸」洋館で営業している同店。旧高谷家別邸は洋館のほかに日本館、奥座敷などが文化財として登録されており、洋館は1934(昭和9)年建設。日本館では日本料理店「翠明荘(すいめいそう)」が営業していたが、2020年9月に閉店した。

 話題を集めたのは、関東在住で旅行ついでに散髪をしたという、ツイッターアカウント「ビブラスキ」さんが9月28日に投稿した「ヴィンテージプレミアム」の店内写真。7回にわたって紹介したところ、合計で約2000のいいねが付き、「弘前にこんな優雅で贅沢(ぜいたく)な空間の理容室があったなんて」「最高すぎて意味が分からない」などの声が寄せられた。

 2012(平成24)年に移転オープンした同美容室のコンセプトは「いつまでも若々しく、人生を楽しむためのサロン」。国登録有形文化財への出店について、総括マネージャーの山打薫さんは「カフェやホテルといった出店は聞くが、美容室が営業しているケースは全国的に珍しいのでは」と話す。

 山打さんによると、旧高谷家別邸の洋館はレストランや戦中は軍事利用されたこともあり、建設当初は津軽銀行頭取の妾(めかけ)を住まわせていた歴史があるという。「20世紀を代表する建築家フランク・ロイド・ライトの帝国ホテルを模して作られたと言われ、時代を超えて今でも美しい佇まいはアンチエイジングを打ち出す当店のコンセプトと同じ」と山打さん。

 オープンにあたり、カーペットだった入り口を床に変えた以外、改修はせず、ステンドグラスやシャンデリアもそのまま残している。山打さんは「建物の良さを生かすためシャンプー施設を導入したくらいで、レジカウンターや受付も作らなかった」と話す。

 同店は今年11月に10周年を迎える。山打さんは「歴史的な建物なのだが、10年も働くと当たり前になっていたが、改めて価値を感じた。私自身はここで働き始めて建物を見ることが好きになった」と笑顔を見せる。過去には観光ツアーのコースで紹介されたことはあったが、県外の旅行客が散髪を予約して建物を見に来たのは初めてなのではと振り返る山打さん。「当店や弘前のことを知ってもらえるきっかけになればうれしい」と話す。

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