一般社団法人「みらいねっと弘前」を中心に複数の団体が生活困難者を支援する弁当の配達事業「弘前お弁当宅配キャンペーン」を始めた。
子どもの貧困や居場所づくり、学習支援などの共助活動を行う「みらいねっと弘前」。2020年からはフードバンク活動を始め、「子ども食堂」事業の支援も行っていた。
事業の発端は、キッチンカーを活用した弁当販売などを取り組む「かみどてキッチンカープロジェクト」から生活困窮者や自宅待機者への弁当販売の提案があったこと。「かみどてキッチンカープロジェクト」の伊丸岡茂樹さんは「弘前市が『まん延防止等重点措置』の適用エリアになったことで客足が遠のき時間を確保できるようになった。料理人たちの腕が少しでも世の中の役に立てばと思い至った」と話す。
弁当の配達は「子ども食堂」のスタッフらが名乗り出た。現在、新型コロナウイルスの影響で、「子ども食堂」の活動が思うようにできていないことが背景にあるという。そのほか、弘前のサッカークラブ「ブランデュー弘前FC」からも打診があった。「ブランデュー弘前FC」広報の吉田大介さんは「地域のクラブチームとして、コロナ禍だからこそ地域課題に取り組むことにもより力を入れていきたい」と話す。
弁当は200円で販売。足りない分は赤い羽根共同募金の助成金で補てんし、青森ZEROライオンズクラブや「30の会」といった弘前の団体から食材の寄付があったという。弁当の配達は2月11日・12日・13日・19日・20日の5日間。3000食を予定しており、すでに申し込み受け付けは終了した。
「みらいねっと弘前」の理事・鹿内葵さんは「まさにオール弘前で形になった取り組み。コロナによって地域力が試されている」と話す。「参考にするためどのように実施したのかといった問い合わせを頂くこともあるが、当団体は橋渡しをしただけ。さまざまな場所で共助の動きが広まっていければ」とも。
弁当の配達は初めての挑戦だったため、配達スタッフが道に迷うなどのトラブルが多かったという。鹿内さんは「ドアベルを鳴らしても出てこないということもあった。親が不在で子どもだけが家にいたというケースも多く、今回の実績から子どもたちの居場所づくりや今後の活動に生かせるようにしていきたい」と意欲を見せる。