津軽弁を話す主人公のライトノベル「じょっぱれアオモリの星」が現在、ネットで話題を集めている。
異世界を舞台にしたファンタジー小説で、青森出身の主人公が冒険する同作。小説投稿サイト「小説家になろう」に昨年6月から約1カ月だけ連載を始めた作品だが、人気が伸び悩んだため打ち切ったと話すのは、作者の佐々木鏡石(きょうせき)さん。
佐々木さんは岩手在住の兼業農家で、作品の投稿を始めてまだ1年しかたっていないと話す。リンゴを栽培していることから、主人公の名前「オーリン・ジョナゴールド」と、リンゴの品種名を名付けたという。「後から弘前のアイドル『りんご娘』の名前とかぶっていることを知った」と佐々木さん。
「じょっぱれアオモリの星」は、能力がある人材が組織から追放されるという設定から生まれたという。「よくあるストーリーだが、追い出された理由をなまりが強すぎるという設定にした。私の父が吉幾三さん、母が伊奈かっぺいさんのファンだったことから、津軽弁には幼い頃から親しんでいた」と佐々木さん。「作中の津軽弁には毎回苦労しているが」とも。
打ち切った作品が話題を集めるようになったきっかけは、1月28日に「ここまで魅せられたタイトル久し振りに見た」(原文ママ)と、ツイッターアカウント「埴科拓安」さんが同作を紹介したことから。「じょっぱれアオモリの星」の作中タイトルは津軽弁で表記しており、「ワ・スゲネデア(私は寂しいです)」「シャベネア(無詠唱)」「ママ・ケ(ご飯を食べなさい)」「ワサオ(犬)」などとなっている。
ネット上では、「現地民なら何言ってるか分かる」「ほぼ外国語www」「発想が天才すぎる」(原文ママ)といった反応があり、4万5000以上のリツイート、10万以上のいいねが寄せられた。中にはタイトルを読み上げる青森在住のツイートがあり、「こういうイントネーションになるのか」「ヘールのとこで盛大に吹いた」(原文ママ)といった声も上がっていた。
佐々木さんは「バズったことで、有名な漫画家や声優に読んだといった反応をもらい、明日になれば死んでいるのではと思うような毎日になった。一度は打ち切りにしたが、いちかばちか連載を再開することにした」と笑顔を見せる。
同作の今後は、架空の東北6県を回るような展開になるという。佐々木さんは「青森があってこその作品。作品を通じて何らかの形で青森に還元できれば」と話す。