温泉旅館「山のホテル」(弘前市常盤野字湯ノ沢、TEL 0172-83-2329)が3月28日、「通信簿つけますプラン」を一日限定で提供した。
利用客の言い値で宿泊料金を決める同プラン。客室や料理などの6項目を5段階評価する通信簿をつけ、宿泊料金はチェックアウト時に支払う。山のホテルは1泊2食付きの通常プランを提供した。
嶽温泉郷で350年以上の歴史を持つ同旅館。コロナ禍で宿泊客が減少したため、クラウドファンディングを活用して運営資金を調達したり、ファンづくりのための動画配信を始めたりし、新しい取り組みに挑戦している。先月はドールオーナー限定の宿泊プランを提供。来月は旅館を会場としてマルシェを主催する。
8代目社長の長女・赤石香織さんは「宿泊キャンペーンなどの支援はあったが、正規料金の概念が崩れて宿泊料金に関して厳しくなっている。コロナ後を見据え、当ホテルにどれぐらいの価値があるか、知りたかった」と話す。
「通信簿つけますプラン」を利用したのは5組。弘前市内外から予約があり、リピーターや初めての宿泊客もいたという。関東から会社仲間と一緒に泊まった30代男性は「緊急事態宣言が明けたタイミングで行きたいと計画していた。山のホテルのリピーターで、応援の意味を込めた金額にした」と話す。
通知表には厳しい評価もあったが、言い値だった宿泊料金は想定以上の金額が入っていたと、胸をなで下ろす赤石さん。「1,000円ももらえないのではという不安もあった。中には通信簿いっぱいに意見を書いてくれた利用者もいて、普段はネットの評価しか見ていないため手書きのコメントがうれしかった。食事一つをとってもさまざまな意見があり、今後の参考にしたい」と笑顔を見せる。