弘前のコンビニエンスストアや鉄道会社などが現在、中止となった「ねぷたまつり」をテーマにした企画を展開している。
「ねぷたまつり」は津軽地方で開催される夏祭りで、今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため各エリアの公式行事は中止となった。参加団体や市民らは代替えの企画や小規模での運行、オンラインでの開催といった今年ならではの「ねぷたまつり」を実施している。
弘前公園近くの観光施設「津軽藩ねぷた村」(弘前市亀甲町、TEL 0172-39-1511)では、弘前市内30店舗のファミリーマートとコラボし、「ねぷた塗り絵コンテスト」を開催。ねぷた村所属のねぷた絵師らが新たに書き下ろした下絵に色を塗るという企画で、塗り終えたねぷた絵は店舗に持ち込めば、店内で展示する。展示した作品の中から「大人」「子供」部門の「店舗賞」などを選出し、QUOカードを進呈する。
ファミリーマートの北海道・東北リージョン弘前営業所担当者は「ねぷたまつりで中止となり、落ち込んだ街の雰囲気を盛り上げるため、地域密着を目指す我々としてできることを考えた。ねぷた村さまの快諾のもと、多くの応募があり、少しでも津軽の夏を盛り上げることができれば」と話す。
応募用のねぷた絵は各店舗で配布。配布期間は7月25日まで。応募の締め切りは26日まで。各店舗での展示期間は8月31日までを予定しており、「店舗賞」作品はねぷた村で8月1日~23日に展示する。8月8日には市内から集められた作品の中から大賞を選ぶという。
「星野リゾート 界 津軽」(大鰐町)では、「ねぷたのかわりまつり」と題し、宿泊者向けに津軽錦絵協会が新たに書き下ろした7枚の見送り絵と1枚の鏡絵(非売品)を展示販売する。ねぷた絵師が描いた実際の下絵を使った「ねぷた絵付け体験」といったサービスも提供。「中止となってしまったのは残念だが、今年だからこその楽しみ方を提案できれば」と総支配人の遠藤美里さん。「活躍の場を失ったねぷた絵師を少しでも応援したかった」とも。
弘南鉄道大鰐線では7月24日、10~20代のねぷた絵師9人が描いた扇型のねぷた絵27枚を展示する「大鰐線車内ねぷた絵展」を開催する。主催するまんなかづくり実行委員会は大鰐線沿線の魅力を発信するために組織した学生を中心とした団体。管理する弘前中央駅内「ギャラリーまんなか」で8月1日、9人のねぷた絵師のねぷた絵も展示する。展示期間は8日まで。
同実行委員会の野村雄大さんは「電車内でねぷた絵を展示する企画は1年以上前からあったが、思わぬ形で実現に至った。若手のねぷた絵師たちの活動を目に触れていただき、来年以降のねぷたにつなげる企画にしたかった。ソーシャルディスタンスを確保しながら電車内で楽しんでいただければ」と笑顔を見せる。