青森県鰺ケ沢町では6月8日に亡くなった人気犬「わさお」をしのぶポスターなどの設置が町をあげて行われている。
わさおはイカ焼き店「七里長浜 きくや商店」(青森県西津軽郡鰺ケ沢町)元店主の故・菊谷節子さんに保護されていた秋田犬で、見た目が「ブサかわいい」と人気を集め、書籍化や映画化もされた。2010(平成22)年には鰺ケ沢町特別観光大使、翌年には日本ユネスコ協会連盟世界遺産活動特別大使犬(ワンバサダー)に任命され、町の広報を務めた。
町役場では20代~30代の若手職員らが中心となり、亡きわさおに感謝を伝えるポスターや横断幕を制作。「わさお ありがとう。思い出はずっと胸に。」「キミは町のヒーロー」といったキャッチコピーを、アイデアを出し合って考えたという。
横断幕は6月22日に除幕式を行い、役場正面の壁に設置。ポスターは当初200部を用意して地元の飲食店などに配ったが、町の幹線道路沿いにも飾ってもらおうと100部を増刷し、現在配布を進めている。担当者は「住民は皆さん協力的。わさおへの感謝の気持ちが伝わってくる」と笑顔を見せる。
鰺ケ沢町から最寄りの映画館「シネマヴィレッジ8・イオン柏」(青森県つがる市)では7月3日から2011(平成23)年に公開された映画「わさお」の再上映が決定した。担当者は「映画館としてわさおに何か恩返しがしたいと配給会社に相談したところ快諾いただいた」と話す。現在のところ、3週間程度の上映期間を予定しているという。
わさおプロジェクト代表の工藤健さんは「現実を受け入れ始めているが、町中に貼られているポスターや設置された横断幕を見ると、まだこみ上げてくるものはある。町の人たちの愛情を感じると共に、全国の皆さまにはわさおのことをいつまでも覚えていてもらえれば」と話す。