青森県深浦町が舞台のノンフィクション小説「ご当地グルメヒーローズ」が3月16日、「深浦マグロ料理推進協議会」(西津軽郡深浦町)から刊行された。
生まれ故郷に観光客を呼び寄せようと奮闘する役場職員の鈴木マグロー(本名=鈴木治朗)さんが主人公の同小説。深浦町がマグロの水揚げ量県内1位であることに着目し、ご当地グルメ「深浦マグロステーキ丼」を観光の呼び物に押し上げた物語を描く。
青森県内でも「陸の孤島」と呼ばれる深浦町は、青森県西海岸に位置する漁業の町。著者の本間善幸さんは「深浦町の人口は1965(昭和40)年のピーク時には2万人を誇ったが、現在は約8000人になっている」と話す。本間さんは2012年4月~2016年3月、地元紙「東奥日報」記者として深浦町に赴任。異動するまでの4年間に行った取材活動の中で、当時観光課職員だった鈴木さんに出会ったという。
本間さんは「鈴木さんは公務員とは思えない面白い発想を持ち主。当時、時間があれば目立つ被り物をして、走行中の五能線に向かって手を振って観光PRしたり、名刺には名前や肩書よりも『感謝』という文字を大きく載せたりしていた」と振り返る。
「現在は深浦を離れているが、深浦で得た経験や人の温かさは忘れられない」とも。「新聞記者として発信できることは限られていた。今回の企画をいただき、深浦の人たちにささやかな恩返しができればと執筆することにした」と本間さん。
鈴木さんは「当初、卒業文集のような書籍をイメージしていた」と笑顔を見せる。「自分のやってきたことがこんな立派な本になったことは感謝しかない」とも。制作には半年以上を要し、本間さんは休日を使い、本業とは切り離して取材を重ねたという。編集は「深浦マグロステーキ丼」プロデューサーのヒロ中田さんが担当した。
「深浦愛にあふれている鈴木さんが仕掛けた深浦マグロステーキ丼は現在、通算24万食以上も売れ、地域を変えるきっかけになった。敬意を込めて『地域バカ』と呼びたくなる彼の思いと共に活動した仲間たちの魅力が読者に伝われば」と本間さん。
鈴木さんは「将来公務員を目指す人や、今公務員として働いている人、働き方に迷っている人たちに何かのヒントとして受け止めてもらえれば」と話す。
価格は1,650円。「深浦マグロステーキ丼」公式サイトで販売する。