東京・北斎通り(東京都墨田区)で開催された「北斎祭り」の会場に10月19日、漫画家・しりあがり寿さんがデザインを手掛けた創作ねぷたが登場した。
両国と錦糸町を結ぶ北斎通りを中心に墨田区亀沢地区で行われる同祭り。同地区にあるすみだ北斎美術館が弘前藩津軽家上屋敷跡に建っていることから、毎年弘前ねぷたを「出陣」している。
しりあがりさんは1985(昭和60)年に漫画家としてデビューし、パロディーや風刺を効かせたギャグが注目を集め、2002(平成)年からは朝日新聞で「地球防衛家のヒトビト」を連載。代表作「真夜中の弥次さん喜多さん」は映画化された。
しりあがりさんがデザインした創作ねぷたは高さ5.2メートル、横2.8メートル、縦3メートル。大きさの異なる3人の力士が描かれているほか、スカイツリーや葛飾北斎の大波、大鍋の中には弘前城や桜、リンゴが描かれている。一番大きい力士の顔はインタラクティブ仕様のプロジェクションマッピングで、観客の顔を投影する。
同企画は昨年しりあがりさんがすみだ北斎美術館で企画展を行ったことがきっかけとなり、持ち上がったという。創作ねぷた製作の依頼を受けたのは、弘前ねぷた参加団体協議会。同会の白井宏之さんによると、6月の打ち合わせ時にしりあがりさんのデザイン案が届いたという。
8月に開催された今年の弘前ねぷた運行はしりあがりさんも観覧した。実際に弘前ねぷたを見たしりあがりさんは、鍋の中が観客からは見えないことに気づき、力士が鍋を持ち上げるデザインに変更することで鍋の中も見えるようにしたという。
白井さんは「突然の変更に驚いたが、創作ねぷたの製作は弘前ねぷたまつり後と決めていたので問題はなかった。製作は出陣する直前まで2カ月以上かかった。デザインどおりでなくても構わないと言われたが、ほぼデザイン通りに仕上がった」と自信を見せる。
しりあがりさんは「墨田の北斎、弘前のねぷたを中心に、桜やリンゴ、スカイツリーや力士がゴッチャになった『ちゃんこ』。まだ誰も味わったことのない盛りだくさんはどんな味がするでしょう?」と鑑賞を呼び掛ける。
創作ねぷたは現在、YKK60ビルアトリウム(墨田区亀沢)で展示している。11月3日まで。